158 - 思い出の味 - 侑 李side ページ12
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- 侑 李side
適当な理由付けてるけど、どうせ大好きなAちゃんの為に買ってきたんでしょ。 はいはい、ごちそうさま。
Aちゃんの目がキラキラしてるとこを見る限り、これは彼女の好きな食べ物なのかもしれない。
僕の横で『なにそれ美味そー!』って目を爛々とさせてる涼介はとりあえず無視するとして…
『遅くなっちゃうからそろそろ行こ』って提案してみる。
大貴は『そうだな』って言いつつ、女性陣に1本ずつチュロスを手渡して、ひと口ちょーだい、ってAちゃんのを一口かじり付いてる。
涼介と顔を見合わせて、呆れ半分でそのやり取りを見ていた。
A「ここのパーキングエリアのチュロス、昔からあるんだよね。 ……懐かしい」
涼介「懐かしい? なんか思い出でもあんの?」
A「お父さんが………家族で旅行に行った時にここ来ると必ず買ってくれたんだ」
大貴「!!」
Aちゃんを見ていた大貴が、その言葉を聞いて視線を別の所へ逸らした。
大貴「……………」
涼介「……………」
Aちゃんのお父さん、……ね。
「そうなんだ……良い思い出だね」
A「うん。 うちのお父さん仕事が忙しくて殆ど家にいなかったの。 たまに帰ってこれた時に旅行に連れてってくれてね……『次はいつこうやって家族皆揃って楽しく過ごせるのかなぁ…』って。 これが旅行の終わりを告げる儀式みたいに思えて………子供だったからか、泣きながらチュロス食べてたな」
なんて答えていいのか分からなくて、皆が黙り込んだ。
その空気を察して、慌てた様子で取り繕うAちゃん。
A「あ、ご、ごめん! なんか変な話しちゃって……、べ、別にお父さんを恨んでるとかじゃなくて良い思い出なんだよ」
大貴「そっか……、じゃあ買ってきて良かった」
2人とも笑顔を作ってるつもりだろうけど、眉をしかめて気持ちを抑え込んでるように見えた。
Aちゃんは、亡くなった父親のことを思い出して。
大貴と涼介はお世話になったユキさんのことを思い出してる。
柚季「小さい頃の食べ物の思い出って結構覚えてるよね。 お父さん家族想いの良い人だったんだね」
涼介「そうだね……」
「……」
亜里咲「父親なんて……どうせ家族のことなんて考えてないわよ」
ずっと黙って話を聞いていた亜里咲ちゃんが、急にトーンの下がった声で呟いた。
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もちもち(プロフ) - 有岡担さん» 『雲の切れ間から』シリーズで題名あってますよ♪ 続編の方に感想コメント下さった方ですよね^ ^ 有難う御座います、頑張ります! (2020年6月24日 8時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - 雲の切れ間からというお話から読んでます!題名あってますか…?間違ってたら申し訳ないです!大人編も読みました。どちらも面白かったです!更新楽しみに待ってます!頑張ってください。 (2020年6月24日 2時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - なーさん» ありがとうございます!大丈夫です♪ ぜひフォローしてやって下さい^_^ (2020年6月23日 8時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
なー - 最近読み始めました!Twitterは鍵垢(閲覧用)のアカウントでも、フォローしてもいいでしょうか? (2020年6月22日 19時) (レス) id: 6d51b7543f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年5月22日 23時