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090 - 言えた ページ43

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ドクン、ドクン、…



全身へ勢いよく血液を送る心臓の鼓動があまりに激しくて、身体が揺さぶられているように感じる。



しばらくの沈黙。



大貴くんは、真顔で私の目を見つめていた。



大貴「俺なんかでいいの?」


「えっ……?」



彼のうるんだ瞳には悲しみの色が滲み出ていた。 理由は分からなかった。



大貴「俺と……、1人の男として……付き合ってくれるってこと?」



告白して不安なのは私の方なのに、何故か彼の方が急に緊張してるように見えた。



この先の言葉の選択を間違えたら、彼は泣いてしまうような気がした。



私のイメージトレーニングでは、優しく丁重に振られる想定だったから、自分から唐突に告白したくせに、彼の予想外の反応に戸惑った。



でも………
そのお陰で逆に冷静になれた。



「うん……大貴くんがいい。 男の人として…ちゃんと向き合ってお付き合いしたいです」



い……



言えた…



言えただけだけど。



彼からの返事は…



大貴「じゃあ…………お願いします」


「………えっ?」

大貴「えっ?」



2人してぽかんと顔を見合わせる。



「うそ……嘘でしょ」


大貴「えっ、嘘なの?」


「ち、違くて……、し、信じられなくて」



大貴「んだそれ、信じてよ
付き合おう…………俺達」



儚げに微笑む彼から差し伸べられた手。



大きくて節が太いその手は、大人の男の人の手なんだけど、綺麗で血色の良い…私の大好きな手だ。



そっとその上に自分の手を乗せると…



「あっ…」



包み込まれた手をくいっと引っ張られて、彼の懐に身体が収まった。



エスカレーターで転んで抱き留められた時と違う。



温かくて柔らかくて、
まるで優しさで包み込むように…



ギュッと抱きしめられた。



私、人生の運を全て使い果たしたの…?



お母さん、慧、ゆず…
私の将来を案じてる身近な皆に教えたい。



天国のお父さんも…
もしかしたらお空の上から見てるかな…



自分でもどういうわけか分からないけど、私こんな優しくてかっこいい人と付き合うことになっちゃったよ。



実感がまだ湧かない…



けど、良いんだよね? こんなに幸せで…



この先に不幸なことなんて…無いよね?



いや、きっとあっても乗り越えられる。



彼が好き…



この気持ちとこの温もりがあれば、どんなことでも乗り越えられそう…



心は、そんな幸せで満ち溢れていた。



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もちもち(プロフ) - せりかさん» コメント頂けてると思わず御返事遅くなりすみません; わわ…せりかさん!だだ…だ大ファンです…!信じられない…有難う御座います!!(T-T) (2020年3月4日 12時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして。私は他の方のお話をあまり読まない方なのですが、もちもちさんのお話は文章が綺麗で楽しく読ませて頂いてますー!続き待ってますね。(^^) (2020年2月8日 15時) (レス) id: 02a6a09f83 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2020年1月17日 23時

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