始まりを君に 2nd - Daiki.A

083 - 見ちゃいけないもの - 涼介side ページ36

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- 涼介side



前に遠巻きに見た時と彼女の印象が少し違う。 今日は気合い入れてきたのかな…



手には雑貨店のものと思われるショッピングバッグ。



待たせちゃってごめんね… って。
そんなやり取りをお互いにしているのが微かに聞こえた。



涼介やっぱり彼女に会ってた



スマホを取り出して知 念にメッセージを送る。



「……」



下りのエスカレーターに向かう為、俺がいる本屋の方に振り返った大ちゃん。



大貴「お腹空いた？ 何食べたい？」


A「えっ……大貴くんの好きなもので良いよ」



少し頬を赤らめながら隣を歩く彼女を見つめる大ちゃんの表情。



それを見た瞬間、雑誌を置いて尾行しようとした俺の脚が止まった。



普段表情豊かで笑顔でいることが多い彼だけど、心の底からリラックスした様子を見せることはあまりない。



あんな緊張の解れた優しい笑顔を見るのはいつぶりだろう…



見ちゃいけないものを見ちゃった…



って言う表現だと怒られそうだけど。まさにそんな感じ。



大ちゃんの置かれた立場を分かっているからこそ、



『会わせなきゃ良かった…』
という後悔と、




大ちゃんの抱えている闇を知っているからこそ、



『会わせて良かった…』
という不思議な安堵が俺の中で混在していた。



ユキさん…
これで良かったのかな……



俺、もしかして余計なことした……？



〜♪



侑 李は? まさかデートなの?追レポよろしく



俺のメッセージを見た知 念から早めの返信がきた。



涼介いや、わかんねー



「……」



涼介ごめん、人混みで見失った



ごめん、知 念。



やっぱ俺、大ちゃんの味方だわ。



それが役目だからっていうのもあるけどさ。



久々に見たんだよ、あんな様子。



楽しそうなのに、



幸せそうなのに、



邪魔しちゃ悪いじゃん。



〜♪



侑 李涼介は甘いね



全部お見通しだよ、と言わんばかりに。



「はぁっ？」



こんっの……小生意気な探偵め…



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