075 - あっという間 ページ28
.
「これは……大貴くんの？」
私が最後にバーコードを読み取ったのは、可愛らしい苺のパフェ。
果肉と生クリームがたっぷりとアイスとコーンフレークの上に乗った女の子が好きそうなもの。
大貴「えっ…いや？ 苺が好きな奴がいてさ、そいつのご機嫌取り用」
ふふっ、て口元に手の甲を当てて笑う仕草は、照れ笑いにも見て取れる。
「そ、そっか…」
もしかして女の子…？
……訊きたいけど訊けない。
大貴「バイト何時まで？ まさか朝までじゃないよな」
「あ、うん。 ちょっと特殊なシフトにしてもらってて…明日も授業だから1時でおしまいなの」
大貴「そか。 バイトと就活と学業……全部両立してんだ……偉いね」
“偉いね”
…なんて好きな人から言われたら、それだけでメンタルゲージは満タンまで回復しちゃう。
「へへっ……体調も崩さず色々頑張ってます」
照れちゃって恥ずかしくて少し顔が熱くなる。
気持ち悪いニヤけ顔になりそうなのを堪えつつ、レジ袋に商品を詰めた笑顔を彼に向けて差し出すと、大貴くんも優しく微笑んでいた。
レシートを渡すとそれをレジ袋の中へ入れた。
大貴「…良かった。 んじゃまたな」
「え？ あ、うん……、ありがとうございました」
彼が店を出るまでその後ろ姿を見送った。
店から出る直前にスマホをズボンのポケットから取り出して何やら電話をしながら周りをきょろきょろ見回す大貴くん。
顔を傾けてスマホを耳と肩の間に挟みながら、レジ袋から缶コーヒーを取り出すのが見えた。
中より外が暗いから、入口の自動ドアが閉まればその姿は殆ど見えなくなる。
久々の再会だったのに…
なんだか味気なかったな。
凄く嬉しいけど、幸せな時間の体感は数秒。
あ〜もっと一緒にいたい…
再燃する気持ちを抑えつつ、レンジの掃除を再開して、ゴミをまとめる為に外に出ることにした。
＊＊
店の外でゴミをまとめていると、足元にいつも通りの気配を感じた。
「ニャゴさん、こんばんわ〜」
ニャゴ「みゃあ」
私の足に擦り寄る少し痩せた三毛猫。
“ニャゴさん” と私が勝手に命名して、首輪まで買ってきて着けちゃったんだけど、この付近に住み着く野良猫。
年齢はどのくらいか分からないけど、目が白く濁っててるからきっとおばあちゃんなんだと思う。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 578人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちもち(プロフ) - せりかさん» コメント頂けてると思わず御返事遅くなりすみません; わわ…せりかさん！だだ…だ大ファンです…！信じられない…有難う御座います！！(T-T) (2020年3月4日 12時) (
レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして。私は他の方のお話をあまり読まない方なのですが、もちもちさんのお話は文章が綺麗で楽しく読ませて頂いてますー！続き待ってますね。(^^) (2020年2月8日 15時) (レス) id: 02a6a09f83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちもち
| 作成日時：2020年1月17日 23時
