070 - ユキ - 大貴side ページ22
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- 大貴side
高台の一角にある静かな墓地。 すぐ横には青々と茂った林がある。
眼下にはのどかな田舎の景色が広がっていて、日差しはきついけど風が爽やかで心地良い。
辺りを見回しても人の姿は無くて、田んぼ畑と遠くの山々が見えるだけ。 ごく稀に地元の人が運転しているのか…おんぼろの軽トラックが通るくらい。
俺の目の前にあるのは、少し汚れの目立つお墓。
七回忌は来年だし、お盆も先だから誰も墓参りに来てないのかな。
両手を合わせた後、いつも通り墓の掃除を始めた。
枯れ葉などの目立つゴミを拾い集め、持っていたコンビニの袋に入れたり、バケツに汲んできた水で雑巾を絞って墓石を拭いたり…
「あ…今日俺、車で来たんだ。 だから酒持ってきてないわ、ごめん」
酒は今度な、って言いながら墓石の横を眺めた。
そこには『A
まだ5歳だった俺と出会ってから、あの事件で亡くなるまでの13年間…
『田中
漢字は違うけど読み方は本名と同じ “ともゆき” だったんだな。
親父が突然彼をどこかから連れて来た。 これから此奴がお前の世話役だ、って。
『ユキ』って呼んでくれ、って言われて、俺と幼馴染だった山田は小さい頃からずっとそう呼んでいた。
子供だったし、まぁまず本名なんて気にしないから、都合良かっただろうな。
名前の横には、数え年で亡くなった時の年齢が刻まれてる。
『行年 36才』
若いな…
ユキが亡くなった当時、娘のAは15歳・中学3年だったのか。
多感な年頃に父親を亡くして…どんな気持ちだったんだろう。
犯人を恨んでる？
警察からはなんて説明された？
何も考えず全て話して、彼女からユキのことを聞くことも、やろうと思えば出来た。
…でもそんな残酷なこと、出来なかった。
(ユキ「俺にもお前と同じ歳くらいの娘がいるんだ。 3つ下くらいかな…誕生日も近いぞ」)
(ユキ「だから、大貴は俺の息子も同然だ」)
急に脳裏に浮かび上がる、ユキの顔、声、父親同然で一緒に過ごした思い出。
咄嗟に青空に向かって顔を上げたけど……
「っ……、」
留めておこうとした水分は頬を伝って、そこに急に吹いてきた風が当たって冷たく感じた。
視界には薄い雲が所々に浮かぶ綺麗な青空が広がっていた。
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もちもち(プロフ) - せりかさん» コメント頂けてると思わず御返事遅くなりすみません; わわ…せりかさん！だだ…だ大ファンです…！信じられない…有難う御座います！！(T-T) (2020年3月4日 12時) (
レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして。私は他の方のお話をあまり読まない方なのですが、もちもちさんのお話は文章が綺麗で楽しく読ませて頂いてますー！続き待ってますね。(^^) (2020年2月8日 15時) (レス) id: 02a6a09f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち
| 作成日時：2020年1月17日 23時
