069 - 1番分かってるのは - 侑 李side ページ21
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- 侑 李side
「あんまり出入りされるとまた警察にガサ入れされるから嫌なんだけど。 探偵事務所としての評判ガタ落ち」
涼介「あははっ。 知 念、普段以上に当たりキツくね？ そんな風に言わないでよ」
「涼介がここに出入りしてるから警察が来るんだよ」
ソファに腰掛けた涼介は、ネクタイを緩めて首元のボタンを外しながらうちわを扇いでる。 こめかみの辺りから頬に向かって汗が流れるのが見えた。
まだ5月なのに最高気温28度ってテレビで言ってたもんね。 スーツ着て外出たら汗かいちゃう。
外には出ないでおこうっと。
まぁ、事務作業が忙しくてぶらつく暇なんてそもそも無いんだけどね。
「ていうか…なんでスーツなの？」
涼介「え？ あぁ……これ？」
自分の胸元を見ながら扇ぐ手はそのまま、『あ〜これ着てるなら暑いのかぁ…』なんてバカみたいな独り言言ってる。
涼介「入院してる親父さんに会ってきたんだけどさぁ。 もう歳だし寝たきりだから弱る一方だよ」
「そっか……」
涼介「あ、それと戸ヶ崎にも会ったよ。 けどあいつ数分で帰った。 『早くくたばれ』って思ってんだろ、どうせ」
淡々と喋りながら胸ポケットから煙草とライターを取り出した。
「あぁあ〜コラコラ！ うち、禁煙！」
涼介が煙草に火を点ける直前で止めた。 ライターを手に持ったまま、きょとんとしてる。
涼介「えぇ、良いじゃん……1本ぐらい」
何も言わずに僕が睨み付けたら、火の点いてない煙草のフィルターを咥えて、渋々店の外に出て行った。
それを見届けてから自席に戻り、さっき亜里沙ちゃんから受け取った小型カメラからSDカードを抜き取り、パソコンで中身を確認する。
映っているのは亜里咲ちゃんの勤めている高級ソープランドの店舗内の映像と、亜里咲ちゃんの接客専用部屋。
質の悪いアダルトビデオを勤務中に見ている気分だけど仕方ない。
彼女のもとに現れる特定の人物が、怪しい動きをしていないか確認する為、こうして隠し撮りした映像を見るのも仕事。
「……」
画面に映っているのは、さっき涼介が言っていた戸ヶ崎という男。
大貴、見舞いに行かなくて良いのかな…
(大貴「あんなの父親じゃねーから。 俺の父親は……ユキだったの」)
そうは言ってもさ。
死んじゃったら伝えたいことも伝えらんなくなるよ？
それを1番分かってるのは……
大貴じゃないの？
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もちもち(プロフ) - せりかさん» コメント頂けてると思わず御返事遅くなりすみません; わわ…せりかさん！だだ…だ大ファンです…！信じられない…有難う御座います！！(T-T) (2020年3月4日 12時) (
レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして。私は他の方のお話をあまり読まない方なのですが、もちもちさんのお話は文章が綺麗で楽しく読ませて頂いてますー！続き待ってますね。(^^) (2020年2月8日 15時) (レス) id: 02a6a09f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち
| 作成日時：2020年1月17日 23時
