始まりを君に 2nd - Daiki.A

057 - 経験不足 ページ9

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店員「ありがとうございました」



お会計をしようとしてカウンター席から降りると、店員さんが見送るような雰囲気を出した。



お会計してないのに。



「え？ あれ？ おかいけい…」



大丈夫だから行こ、って店を出る支度をする大貴くん。



どうやら私がトイレに行ってる間にお会計を済ませてくれたみたい。



なんだか申し訳なくていくらか渡そうとお財布を鞄から取り出した。



いくらしたかさっぱり分かんない。
どのくらい渡そう…



大貴くんは店の入口に行ってしまっていて、私がいないことに気付いて辺りをきょろきょろ見回してて目が合った。



財布を持ったまま立ち尽くす私を見て、苦笑いしながら戻ってくる。



大貴「……こういう時は大人しく奢られんの！」


「そんな……悪いよ……」


大貴「はぁん…さては男に奢られ慣れてねぇな？

来年社会人になったらこんなこといっぱいあっから。 『ご馳走様でした』ってニコニコしときゃいいの、分かった？」


「え？ あ、う…うん？」



社会人としてのマナーを教わった…のかな？



社会人になったら、飲みの席で上司に支払ってもらう、っていうシーンは多いらしい。



高校の時に付き合ってた彼氏とは割り勘してたし…奢られるなんて初めてだ。



可愛く『ありがと！ごちそうさま♡』て言えたら良かったのにな…



経験不足が表に出てしまった。



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