【完結】雲の切れ間から After Story 3rd - Daiki.A

102 ページ5

.



手術から2日経った。
今日は金曜日…



来週の水曜日にもう一度病院に行かなきゃいけないけど、術後の経過は順調だった。



生理みたいな出血が2週間前後続くらしくて、感染や炎症を防ぐ為に入浴が出来ないのが辛かった。 シャワーだけだと風邪ひきそう。



上司「体調は大丈夫？ 無理しないでね」


「ありがとうございます。 もうすっかり元気なので大丈夫ですよ。 バリバリ働きます」


上司「ま、働くって言ってももう年の瀬だし気楽にね。 体調整えて心機一転年明けから頑張ろう、ってくらいの気持ちでいいよ」



事情を知ってる職場の人からはどうしても気を遣われてしまう。



仕方ないか…



妊娠を報告して『おめでとう』ってこっそりお祝いの言葉くれた人も中にはいたのに、数週間で流産なんて…



すっかり普段通りの生活。 2日前の出来事が全て嘘みたい。



嘘だったらいいのに……



何もかも……無かったことになれば……



……いや、それは違うか。



前向きにこれから先のことを考えないと、何も学んでいないことになっちゃう。



『喉元過ぎれば熱さを忘れる』ってことわざがあるけど、今回の経験は忘れちゃいけない……忘れたくない。



自席で見積書や検収書などの証憑書類をまとめて、ドッチファイルにまとめていた。



紙って1枚1枚は軽いのに、何百枚もまとまるとこんなに重たいのか…と、キャビネットからドッチファイルを持ち運ぶ度に思う。



席とキャビネットを行き来するのが面倒臭くて、重たいドッチファイルを5つ重ねてよろよろと歩いていた。



角を曲がった所で、突然現れた人にぶつかりそうになり、



「わっ！！」



咄嗟に避けようとしてバランスを崩し、ドッチファイルを床へ落とした。 幸いしっかりと綴じてあるものなので紙が散乱する…という展開にはならずに済んだ。



「ごご、ごめんなさいっ！！」



慌ててぶつかりかけた人に頭を下げる。



？「あぁ、いや…大丈夫？ 相変わらずおっちょこちょいだね」



あれ？この声…



顔を上げると、そこにいたのは久保さんだった。



久保「コンビニにコーヒーでも買いに行こうと思って。 奢るからさ、息抜きがてら一緒に行かない？」



.

103→←101

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す