【完結】雲の切れ間から After Story 3rd - Daiki.A

113 - 大貴side ページ16

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- 大貴 side



土曜の昼過ぎ。 今日はコンサートがあるので楽屋でケータリングを食べながらスマホをいじっていた。



今晩、俺がいない間に紗奈達が家に来るから、久々にハウスクリーニングをお願いした。



ちょうどその作業完了メールが届いたところ。



Aと同棲する前はよく利用してたサービスだけど、同棲し始めてから家のことはAが一通りやってくれるから使わなくなった。



(A「そんなサービス使ってる人初めて見た。 ………さすが芸能人デスネー」)



あれは付き合い始めの頃に言われた言葉。 なんか嫌味っぽい口調で言われたから無性にムカついたのを覚えてる。



別れてから数日経って、家にあるAの物が減っていることに気付いた。



胸がグッと握られるような痛みを感じて……



少しずつ実感した。



俺達、別れたんだな…、って。








A歯ブラシと着替え、少しだけ残しとくよ。日曜に皆が帰った後に全部持って出て行くから



あ〜ダメだ。
大事なコンサート前に何を思い出してんだ。



＊「大ちゃん、いつもの瞑想…やらないの？」



グループのメンバーが声を掛けてきた。



「お、一緒にやる？」


＊「うん、やるやる〜」


「お前、こないだ寝てたじゃん」



楽屋にある大きめのタオルを持って、使っていない稽古場に移動することにした。



Aはもう、俺のことは吹っ切れたのかな。










いつか愛想尽かされるんじゃないか…、って思ってた。



仕事してる時間は長いし、休みも不定期、一緒にいられる時間は限られてた。



なのに、どこへ行くにも何をするにも人目を意識して気を遣わなくちゃいけない。



Aは必要以上に気にしてたけど、たぶん…俺の為を想ってそうしてくれてたんだろうな。



この業界で仕事をすることは自分で選んだことだし、割り切るしかないからこういう生活に耐えられるけど、そもそも業界人ですらないAにとっては辛かったと思う。



寂しい気持ち、不安な気持ちに沢山させた。



だから……



これで良かったんだよな……



これで……





















＊「…大ちゃん？ おーいっ！ 大ちゃんっ！」












「あ？ あぁ…ごめん。 なに？」


＊「大丈夫？ ボーッとしちゃって……考え事？」


「いや……ちょっと眠くて。 行こっか」



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