【完結】雲の切れ間から After Story 3rd - Daiki.A

109 - 高3 卒業式前日 ページ12

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〜 高3・卒業式 前日 〜



「ねぇ…、っ、もぉ！ 待ってってば！！」


大貴「んだよ！ 遅刻すんぞ！」



私の視界には雲ひとつない澄んだ青空が広がってる。 それがさっきからまるで青い波のようにゆらゆらと揺れてて…



原因ははっきりしてる。



侑李「大貴、優しくしてあげて。
今あの子は毎度お馴染みの『センチメンタルモード』だから」



ついに明日に迫った、卒業(わかれ)を嘆いているから。



大貴「ぷっ、それか！ 久々の登校日だから寝惚けてんのかと思った」



今日は高校の卒業式前日。



涙が溢れないように上を向いて歩いている私を、呆れた顔で見てる大ちゃんとちーちゃん。



私はいつも卒業式のシーズンになると、普段涙脆いのに拍車がかかって朝からぼろぼろになる。



小学校、中学校、そして懲りずに今回も…



それを今、センチなんとか、ってちーちゃんに馬鹿にされてるところ。



大貴「知念……あれじゃいつまで経っても学校着かねーんだけど」



上を向いてるから姿が見えないけど、呆れたような幼馴染の声が聞こえる。



こんな戯れも今後出来ないんだと思うと、堪えた涙がまた込み上げてきてキリがない。



侑李「A〜いい加減にしないと置いてくよ〜？」


「っ、…うぅ、だって…もうこうして3人で制服着て歩けないんだよ？」


大貴「じゃあ10年後も制服着てここ歩こうねー、とはならないしな」


侑李「制服は着なくても、この辺り歩くくらいなら出来るんじゃない？ 卒業後も会おうと思えば会えるんだし」






ーー






卒業式前日は、式の予行演習のみで午前中で終わるんだけど、うちのクラスだけは違った。



他のクラスのホームルームが終わって廊下が騒がしくなる中、学級委員の人が教壇に立った。



学級委員「明日でこのクラスの皆とは一旦お別れだけど、10年後に皆と再会した時に楽しめる企画を考えました」



教室の1番後ろ、中央の席に座っている私。 クラス中の人が顔を見合わせてる。



卒業間際に……企画ってなんだろう。



学級委員「10年後の自分に向けて、手紙を書いてもらいます」



はぁ？ なんだそれー
恥ずかしいよー
…って否定的な声も聞こえたけど、

楽しそう！
面白いかも〜♪
同窓会絶対やろうな！
…って楽しそうな声が大多数。



学級委員「専用の手紙を配るので、明日の朝までに書いて持ってきて下さい！ 10年後、同窓会の案内と共に学級委員の僕から皆へ発送します！」



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