【完結】雲の切れ間から After Story 3rd - Daiki.A

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まさか別れを切り出されるとは思ってなかったと思うんだけど……



大貴は凄く冷静だった。



大貴「嫌だ、って言いたいとこだけど……
『このまま俺といて幸せなのかな』って最近疑問に思ってたから…ちょうど良かったのかも」



大貴はしゃべりながら、落ち着かない様子で手をいじっていた。



こんな癖あったっけ？



付き合い長くても、やっぱり心は読めない。



ちーちゃんがいたら、もしかしたら分かったのかな…なんて。



大貴「ん………よし、別れよ。
ごめんな…最後にこんな形で負担掛けちゃって」



別に…
妊娠については大貴が悪いわけじゃないのに。



そうやってすぐ謝んないでよ…



喉の奥がツンとする感覚。
泣く前に感じるこの独特の痛み。



慌てて、グッと手を握りしめた。



手の中がズキッて痛みが走った。 皮膚に爪が食い込む。



胸の痛みと共に手がぶるぶると震えだしたけど、握る力は緩めなかった。



こうしていることで気持ちが折れず、涙を堪えて大貴の目を見ることが出来るから。













泣き顔は……見せたくないから。













大貴の視線が一瞬私の手元に向けられた気がしたけど、特に触れられなかった。



大貴「合鍵はまだ渡しといた方がいいよな。 荷物まとめないとだし」


「うん……でも、なるべく早めに出ていく」


大貴「………分かった。 ここの費用って確かまとめて後払いだよな。 おばさんに渡しといていい？」


「え、要らない。 高額じゃないし払えるもん」









別れって……なんてあっけないんだろ。




付き合うまでの道のりは長くて大変だったのに。




20年近く続いた彼への恋を…
自分の手で終わらせた。







好きで好きで…仕方なくて……




こうして決断するのが遅れた。




好きだから……お別れしたいって、
意味分かんないもんね。






自分でもちょっと混乱してる。





これが正解なのか分からない。








好きって言ってくれてる彼の気持ちを蔑ろにしたくなかった。




好きな人に『好き』って言ってもらえるなんて、こんな幸せなことないのに。










でも、これから先の不安や寂しさと1人で向き合えるほど私は強くなかった。












まだ恋に関しては未熟で……



もっと色んな人とお付き合いして、辛い事も楽しい事も経験しておけば良かったのかな。



後悔は……きっと何も生まない。



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