雲の切れ間から After Story - Daiki.A

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一瞬、何を言われたのか分かんなくて……



完全に思考が停止した。



看護師「初めてのご妊娠ですよね〜」



薄いカーテンの向こう側。 カルテのような紙を確認しながら平然と話しかけてくる看護師さんが見えた。



「は……はい…………え？ 妊娠？」


医師「がん検診は終わりましたので、このまま超音波でもう少し診させてください」



身体の中に入ったままの機械がグリッと膣の中で動く感覚に下半身が強張った。



看護師「あ、力抜いてリラックスしてくださいね〜」



感覚的には、大貴とそういうことする時と一緒。



挿れてる場所が同じだもんね…、なんてバカなこと考えたら身体の力が自然と抜けた。



横にいる看護師さんが、フゥーって深呼吸しましょうね、って促してる。



診察台の真横にある小さなモニターに映像が映し出された。 自然とそちらに視線がいく。



医師「赤ちゃん分かりますか？ この黒い丸が赤ちゃんを包む胎嚢です。そして、その中に見えるのが赤ちゃんです」



トクン、トクンと中心に脈を打つように動くものが見えた。



医師「心臓も出来ていますし、心拍は大丈夫そうですね。 おめでとうございます」



おめでとうございます、と横にいた看護師さんも微笑んでる。 私は展開についていけなくてまだ呆然としていた。



医師「妊娠6週ですね。 赤ちゃんの大きさは5ミリくらいです。 つわりはないですか？」



「6週……5ミリ……つわり……？」



情報が一気に入ってきて、ただ先生の言ってることを繰り返した。



医師「気持ち悪いとか、目眩がするとか…心配なことがあれば仰って下さいね」


「は……はい」



先生がカーテンの下からモノクロの写真を渡してきた。これはエコー写真というものらしくて、私の子宮の中が写ってて、真ん中に赤ちゃんが写ってるみたい。



普通の写真と違って何が何だか分かんないけど…



真ん中の少し丸くて白っぽいの、



これが…





















私と大貴の……赤ちゃん。
















医師「詳しくは後ほど、助産師から説明させて頂きます」



診察台から降りた私は、夢か現実か分からなくなっていた。



私……もしかして、夢見てる？



夢なら今覚めてくれ…、って思いながら診察室でエコー写真を見つめて突っ立っていたら、助産師さんに怒られた。



急いで着替えて個室に移動した。



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