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B-3 ページ10

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診察室にお母さんとふたりきり。



壁に掛かってる時計を見たら23時を過ぎていた。



母「まったく。家飛び出したり、道端で倒れたり…心臓がいくつあっても足りないわ」


「ごめんなさい……」


母「………でもまぁ少しは反省して落ち着いたかな?」



すごく反省してる……



都合が悪いことが起きたら逃げてぐずって……まるで幼い子供みたい。



母「Aはね、普段は周りの人と同じように生活出来てるけど、一生付き合わなきゃいけない病気を抱えてるの。 その自覚を持ってちゃんと向き合って欲しい」


「はい……」



お兄ちゃんが言っていた通り、周りに助けてもらえるところはなんでも頼って……嫌なことから目を背けてた。



自分の体調管理も人任せ。



なんでこんな面倒くさいこと毎日しなきゃいけないんだって思ってたし、注射ついでにお兄ちゃんと話せるから都合良いな…、なんて最近は考えてた。



母「自分自身のこともまともに管理出来ない人が、誰かを大切に出来るわけないでしょ」


「そうだよね……分かってる……いや、ようやく分かってきた」


母「……ちゃんと1人の人間として年相応にしっかりしなさい。 そしたら大貴とのこと……考え直してあげてもいいから」


「え……考え直すって……?」


母「大貴に頼ってばかりいないで自立したら、考え方、感じ方も変わるかもしれないじゃない。 中途半端に付き合って欲しくないの」



私にとっては2人とも大切な子供なのよ? って困ったように笑ったお母さん。



母「もう家庭崩壊するのはこりごりだからね」



お母さんが前のお父さんと別れた理由は知らないけど、たぶん私とお兄ちゃんが中途半端な関係になってるのを知って複雑なのかもしれない。



「ごめんなさい……お兄ちゃんのこと、好きになっちゃって……」


母「ほら、早速間違ってる。それが本心なの?」


「え………」



本心……私の本心は……



「お兄ちゃんと一緒にいたい。 その為にちゃんと認めてもらいたい……」


母「そう! それでいいのよ。半端な気持ちなら許さないし認めないからね!」



不思議な感覚。
お母さんと話してるのに、彼氏のお母さんと話してる感覚。



母「辛いなら無理しなくてもいいから。 別に “妹” のままでもいいんだからね」



Aの決断を尊重したいと思ってるのよ…って。



お母さんはそう言って手を優しく握ってくれた。



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作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月2日 22時

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