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B-2 ページ9

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ピピッ、ピピッ、



電子音が聞こえて意識が戻った。



視界には、白い天井と薄暗い照明。
プールの消毒に使う塩素みたいな独特の匂いがする。



「うっ………」



身体がふわふわ浮いているような感覚と同時に吐きそうになって慌てて起き上がった。



大貴「っ、A!」

「わっ……」



突然視界に入り込んできたお兄ちゃんに驚いた。



大貴「良かったぁ……ちょっと後ろのナースコール押させて、」



辺りを見回すと……
どうやら病院の診察みたいな空間のベッドで横になってるみたい。



枕元にあるナースコールのボタンを押して、女性の声がスピーカーから聞こえてきた。



起きました、ってお兄ちゃんが言ったら、
今先生が向かいますね〜、という女性の声。



あ、これ気を付けてね、ってお兄ちゃんが私の腕を指差した。



右腕に付いていたのは……大嫌いな点滴。



「えっ、な…なにっ?! ねぇ、ここどこ?」


大貴「落ち着けってば。 倒れたの覚えてないの?」


「倒れた………?」



そうだ……お兄ちゃんと駅で別れて家に帰る途中だったはず。



着ていたはずのお兄ちゃんのコートは無くて、ブラウス1枚の状態に脱がされていた。



大貴「夜遅かったから家まで送って帰ろうかな、って思ってAの後を追い掛けたら、道端で倒れててさ……」


「あぁ……そうだったっけ」



空腹で家を飛び出して、寒い中全力で走って疲れて……



駅に着いた時、低血糖の症状が出てたんだった。ココア飲んだから一時的に誤魔化されてただけだったんだ。



母「Aっ……大丈夫?!」



部屋のスライド扉が勢いよく開いて、先生らしき男性とお母さんが入ってきた。



「あっ……お母さん……」



お母さんに会うのは家で突き飛ばして以来。



医者「点滴が終わったら帰っても大丈夫ですよ。 一時的な低血糖の無自覚性発作でしょう」



母「どうもありがとうございました……

大貴、孝太が車で迎えに来てくれてるから先帰りなさい、明日も学校なんだから。 点滴まだ1時間以上かかるでしょ?」


大貴「あ〜うん、分かった。 じゃあな、ゆっくりしとけよ」



普段通り、私の頭をぽんぽん、って撫でるお兄ちゃん。



「わっ…!!」



顔が急激に熱くなった。お母さんの目の前でこうして触れられるのは、今までなら普通のことなのに、今回の一件があったから激しく動揺した。



特に気にする様子もなく、お兄ちゃんは先生と一緒に部屋を出て行った。



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作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月2日 22時

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