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A-2 ページ7

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大貴「あっ、てかA濡れてるから先に風呂入った方がいいじゃん」



バタバタと部屋を出て行くお兄ちゃん。



リビングも部屋も全てが我が家よりもずっと広くて、1人で暮らすには充分…というか広すぎる。



大貴「孝太もう風呂入っちゃってたから、とりあえずコレ……くるまっとけ」



毛布を持ってきて私に投げつけた。



「お母さん……怒ってるよね。
やっぱり帰るべきだったかな」



コートとブレザーを脱いで、ぐしゃぐしゃの毛布で暖をとる。



お兄ちゃんは積まれた段ボールの外側を見ながら何かを探してる。



大貴「俺も母さんがなに考えてんのか、全部分かるわけじゃないけど……」



タイミングを見計らってちゃんと謝らないとな、って反省した。



しょぼくれた私を見て、ははっ、て軽く笑うお兄ちゃん。



大貴「明日でもいいから帰ったら話せよ」


「うん……明日……あれ? 私どうやって学校行けばいいの? あ、注射がない……」



制服は濡れてるし、なによりもインスリンが手元に無いのがまずい。



大貴「それは……、」


孝太「風呂出たよー!!」

「わっ!!」
大貴「うわっ! いちいちびっくりさせんな!」



腰にタオルを巻いた状態の孝太が部屋に入ってきた。 180センチ超えの長身が全裸で飛び込んできたからちょっとホラー。



従兄とはいえほぼ全裸の状態はさすがに目のやり場に困った。



あっち行け!シッシッ…、ってお兄ちゃんに追い払われ、渋々リビングの方へ戻っていく孝太。



大貴「歳の離れたお兄ちゃんがいたらあんな感じなのかな……世話焼けるわ〜」



孝太に訊きたいことは色々あるし、こんな形で押しかけたことも謝りたいけど、酔っ払ってるからまた明日……



大貴「ハァ……で、さっきの話の続き」



段ボールを私に渡してきた。 “A” って書かれてる。



開けてみ? って言われて中を開けたら……



制服のシャツ、部屋着、下着や靴下、そして……密閉袋に入った注射器とアルコール綿があった。



「………なんで?」


大貴「……お前がここに来ること想定してたんだよ」



私が……
こうしてここに押しかけることを?



「お母さん………なんでもお見通しなんだね」



明日、ちゃんと謝ろ…



部屋着を抱きしめて顔を埋めたら、お兄ちゃんが私の頭を撫でた。




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作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月2日 22時

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