A-19 ページ47
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侑 李「部活あったから眠いんだけど」
「ごめん……」
慧先輩から急な呼び出しがあって、とある場所にやってきた私達。
『駅前の本屋に今日発売の漫画を買いに行く』なんて嘘を親について、ちーちゃんに付き合ってもらった。
夕飯はそれぞれの家で済ませて、制服から私服に着替えて家を出る。 12月中旬の夜、外はだいぶ冷え込んでいてマフラーは必須。
最寄り駅近くの雑居ビルにやってきた。 古くて狭いエレベーターで3階まで上がり、ドアが開いた瞬間に見えたのは……
侑 李「待ち合わせって……ここか」
カラオケ店の受付が見えた。
店内に来店を知らせるチャイムのようなものが鳴って、奥のカーテンから人が出てきた。
慧「あっ、来た来た〜。 ちょうど良かったよぉ〜♪」
白いシャツに黒のベストを着て、高級レストランのウェイターさんみたいな格好の慧先輩がカウンターの向こう側にいた。
侑 李「え……伊野ちゃんここでバイトしてたの？」
慧「そうだよ、たまにね。 ちなみに大貴もいるよ。…だから呼んだんだけどね、はははっ」
侑 李「こんな時間に呼び出して……悪いこと考えてるとしか思えないんだけど」
慧「まぁそう言わずに……ちょっと来て？」
平日の遅い時間のカラオケ店。しかもチェーン店とは少し違う雰囲気のこの店は流行ってないみたい。
こっちこっち、って手招きされて、呆れ顔のちーちゃんと共にカウンターの内側に入る。
カウンターの手前にある小さいパソコンのモニターを私達の方に向けて指差した慧先輩。
そこに映っていたのは店内の監視カメラ映像。指差された部屋には6人の男女がいた。
その中にいた慧先輩と同じ格好の男性店員。監視カメラに対して正面に座っていたから顔が見えたから分かった……
侑 李「……これ、大貴だね」
店員なのになぜかお客さんと一緒にソファに座ってるお兄ちゃん。
男の人が奥で歌っていてお兄ちゃん以外の人は手拍子してる。
お兄ちゃんは真横にいた女の子と何かしゃべった後、
前屈みになってその子の顎を掴んで覗き込むようにキスをした。
「………」
侑 李「………」
周りの人達は全く驚くことなく画面手前のカラオケの液晶を見て手拍子を続けている。 異様な光景。
慧「あ〜あ……やめなって言ったのにぃ」
頬杖ついて呆れた様子の慧先輩。
私は取り憑かれたように……
画面から目が離せなかった。
＊移行のお知らせ
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年11月2日 22時
