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駅の階段で話をしていた私達。
気付けば21時近くになっていて、冷たい風が吹き抜けた。
大貴「……っくしゅん！」
「あっ………」
私にコートもブレザーも貸してくれたお兄ちゃんは薄いワイシャツ姿。
12月の冷たい雨が降る夜、風が吹き込む駅はかなり寒かった。
「ご……ごめんね、私のせいで……」
大貴「いや別に寒くな……って…あ、」
あぁ！ って何か思い出したような一際大きな声を出した後、鞄を漁りだす。
大貴「さっき自販機で買ったホットココア……あ、もうホットじゃない。
……ねぇ、今更だけどあそこ入んない？」
指差したのは階段を降りた券売機コーナーの先にあるコーヒーショップ。
帰ろっか、って言った割にはまだ話をしたそう。 私が頷くと、腕をさすりながら嬉しそうに階段を駆け降りていった。
やっぱり寒かったんじゃん……
ーー
お兄ちゃんに奢ってもらって、ちゃんと “ホット” のココアを飲んだ。
さっきまで低血糖気味だったけど、じっとしていたせいかさほど悪化もしなかった。
お兄ちゃんが心配するから何も言わないでおくことにした。
大貴「伯母さん、だいぶ前から腰悪いんだって。 ヘルニアだかなんだか……ちょっと忘れちゃったけど、」
平日のど真ん中、水曜日の夜だからか…店内はガラガラ。 しかもこんな時間に制服姿の高校生はいない。
たぶん浮いてるだろうな、と思いつつ禁煙席のカウンターで話をしていた。
お母さんにはお兄ちゃんから連絡を入れてもらった。 あと一歩のとこで警察に捜索願を出すところだったって……
大貴「孝太はパートナーと一緒に暮らすから家をもうすぐ出るし、伯母さんはちなみのとこにおととい引っ越したらしいよ」
「えっ、じゃあお兄ちゃん……ひとり？」
お兄ちゃんが今日から住むことになってる伯母さんの家。伯父さんは10年くらい前に亡くなってるから、そこに昔から住んでた人たちは皆家を出たことになる。
大貴「……母さんからなんも話聞いてねぇのな」
あっという間にホカホカのカフェラテを飲み終えたお兄ちゃん。
大貴「母さんが話し忘れてんのか、Aが人の話をちゃんと聞いてないのか……どっちも有り得んだよなぁ」
やっぱ親子って似てるな、血を感じるわ、って。
バカにされてる……
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年11月2日 22時
