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星ひとつ見えないどんよりと濁った夜空。
お兄ちゃんが別の家で暮らす……って。
突然の事態を受け入れられず、思わず家を飛び出した私。
お兄ちゃんとの関係……
お母さんに反対されるのは分かってた。
でも………
(母「ーー あなた勘違いしてるのよ…目を醒まして？」)
あんな風に決めつけられて、一方的にこの感情を否定されるとは思わなかった。
もうちょっと受け入れて欲しかった。
話を聞いて欲しかった。
走り疲れて……冷たい雨に体力も奪われ……
駅に着く頃には冷静さを取り戻した。
ポケットに入ってるスマホを取り出したら凄い数の通知。
お母さんからの着信とメッセージだった。
母ごめんね
母落ち着いて。帰ってきて
落ち着いて欲しいのは “お母さん” だよ。
こんなやり方間違ってる。
通知を無視してスマホをまたポケットへしまう。
玄関にコートを置いてきちゃってブレザーだけだと流石に寒かった。
走ってる間は気にならなかったけど、ふらふらと歩いていれば徐々に体温が下がっていく。
ご飯食べてないから空腹で気持ち悪い。
駅の券売機前まで来たから雨は凌ぐことができた。
会いたい人が今どこにいるのか見当もつかないのが虚しい。
考えてみれば、週3で通ってる塾も、たまに行っているバイト先も知らない。 それに、今日から彼が暮らすことになった伯母さんの家も数年前に車で行ったっきり。
場所は覚えていないから行くこともできない。
……何にも知らないね、私。
震える身体を落ち着ける為、駅の地下へ続く階段に座った。 エスカレーターがあるから人はほとんど通らない。
寒いのに異常に汗が出てきた。 文化祭の時にもあったこの感覚。
たぶん低血糖だ。 なんでこんなタイミングでなるのかな。
〜♪
ポケットにしまったスマホが振動しだす。
着信だ。
画面を見た瞬間、
止まってた涙がまた溢れてきた。
“大貴”
名前を見ただけで、今朝最後に見たあの温かい優しい表情を思い出す。
「お……お兄ちゃん……っ」
大貴『A……ごめん、ちゃんと話してなくて』
私が家飛び出したこと…お母さんから連絡がいったのかな。 第一声から妙に落ち着いたトーンで話しだした。
大貴『今どこにいんの……』
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年11月2日 22時
