検索窓
今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:26,787 hit

. ページ1











雲ひとつない青空。

全面ガラス張りのチャペルの向こう側にはキラキラと波が光る海が見えた。



「うわぁ……」



誰もいないチャペルを歩き回って外に出ると、爽やかな海風が髪をすり抜けていく。






スマホ以外の荷物を置きっ放しにしていた控え室に入ると、今日の主役の姿。



挙式までまだ時間があるからか緊張感ゼロでスマホでゲームをやってるみたい。

ログインボーナスあるからやっとかないと、って。



大貴「お前なぁ…さっきからうろちょろし過ぎ」



部屋に入ってきた私を一瞥(いちべつ)して、またスマホに視線を戻した。



こんな時にゲームやる……?



25歳にもなって未だに『小学生みたい』って言われるのは、見た目だけじゃなくてこういう内面のせいもあると思う。



実優「ねぇ大貴、このリストさぁ……」



なにやら紙を見ながら部屋に入ってきた実優先輩。 まだ着替える前らしくて私服姿。



「あ、ご結婚……おめでとうございます」



目があって、深々とお辞儀をする私。 言い終わった後、私達の関係を考えたら “嫌味に聞こえたかも” と反省。



実優「いやぁ!改まって言われると照れちゃうよ!」



照れ隠しなのか、ゲームしていたお兄ちゃんの後頭部をベシベシと叩いた。



「チャペルが綺麗で……感動しました」


実優「良かった! あそこに一目惚れしてここを式場に選んだから……」


スタッフ「あの、そろそろ着替えましょうか」


実優「はっ!! もうそんな時間!」


大貴「じゃあまた後でね、」



さっさと出て行く実優先輩とスタッフの女性。







大貴「……あ、A」



立ち上がったお兄ちゃんに手首を掴まれ引っ張られた。 よろけて胸元に飛び込む形になって……



見上げれば、目の前には……



「わっ、だ……だめ……ちょっ……」



私の顎を乱暴に掴んで、近付いてくるお兄ちゃんの顔。 逃げようにも腰に腕を合わされて引き寄せられる。



大貴「ん、ちょっとだけ……」



ちょっとだけもダメなのに……



目をギュッと瞑った。












けど……思っていた展開にならない。



あれ… って思って片目を開けたら、
お兄ちゃんが肩を震わせて笑いを堪えてる。



大貴「ぷふっ……するわけないじゃん」


「……も……もぉ〜っ、最低!!」












ねぇ…











あの時の “選択” によっては……



今、お兄ちゃんの隣に立つ人は変わっていたかな…







.→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
154人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月2日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。