悪魔に恋されてプロローグ (ページ19)

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看護師「Aさん、そういえば今日は数年に一度観られる星が綺麗な日だそうですよ」

『星かぁ…本当は足さえ動けば、観る約束していたんだけどなぁ…』

看護師「まぁ、例の人…ですか？」

『そうなんですよ、出会って数日ぐらいな関係なんですけどね…』

看護師「そういえばその人の名前とかって知ってたりしないんですか？」

そういえば、あの人の名前聞いてなかったなぁ

『教えてくれないんですよねー、あ、あの、窓開けて置いて貰えませんか？』

看護師「大丈夫？風が凄く来るけど…」

『いえ、星が近くで観られる気がするので』

看護師「解りました、寒くなったらいつでも呼んでくださいね」

『はい、おやすみなさい』

看護師さんも手を振って「おやすみなさい」と言ってくれた

…

…

…はぁ、眠れない

あの人がずっと待っているんじゃないかと思ってしまう

退院したら謝らなきゃ

折角出来た初めての男友達だったのになぁ…

怒っているかな…

ガタッ

え？

窓の方から音がしたから顔をそちらに向けると

『あっ…貴方は…何で…』

「Aが来ないから探してきた」

何で…解ったの…

『帰っても良かったのに…』

駄目だ、この事がバレたらまずい

笑わなきゃ

いつもみたく

「お前が来ないのに勝手に帰れる訳ないだろう」

彼が周りを見渡している

まずい、まずい

「………何があった」

私は咄嗟に嘘をついた

『大した事じゃないの、階段から転んで…』

彼は怪しんでいる

「……隠すな」

まだ…まだ嘘をつける

『階段から落ちたのを友達に話したらね…』

「隠すなっと言っている！」

ひぃ…

こんなに心配してくれたんだ…

そりゃ、窓よじ登るくらいだし…

隠し通せないなぁ…

『……ごめんなさい、貴方がいない間に事故にあって…もう足が動く事はないの』

『お医者さんも、もう無理そうだって…』

話していると辛くなってきて涙がぽろぽろと出てくる

泣き顔は見せたくないのに…

「俺が治す」

『え…？』

医者だって無理だと言っていたのに治るなんて…夢のまた夢

「お前を泣かせたくない、泣かせるのは幸せ過ぎて泣かせたい」

優しい人だな…

「だから……待っていてくれ」

そう言うと彼はすぐに窓から姿を消した

『待っている…貴方が来るその日まで』