監査官 ページ22
『名乗りもしない挙句、人の家に勝手に入るなんて非常識にも程があるんじゃない?』
睨み上げた視線の先に居るのは二人の男。
いつも通り自室で執務を行っていたら、玄関の方から歌仙の静止する声を無視して突然入って来た。家主の許可も得ずに上がり込むなど、この男たちは常識を知らないのか。
私の視線に気が付いたのか、やれやれと言った表情で口を開く銀髪の男。
?「俺は山姥切長義。備前作の刀工、長義作の刀だ。俺こそが長義が打った本郷、山姥切。どこかの偽物くんとは、似ている似ていない以前の問題だよ」
山姥切長義が睨み付けた相手は、本日近侍担当の山姥切だった。睨まれている当の本人は何食わぬ顔でお茶菓子を頬張っている。
山姥切長義の隣に座っている片目隠しの金髪監査官に視線を移す。目が合うと彼は扇子を閉じ、「自分か?」とでも言うかのようにキョトンとしている。他に誰が居るんだ。
?「僕か? 僕は一文字則宗。僕を打った刀工は後鳥羽院の御番鍛冶で……まぁ、一際じじぃと言うやつだ。よろしく頼むよ。うははは」
目を細めて彼らの斜め後ろに居るこんのすけを見つめると、顔を青ざめて全力で首を横に振っていた。
こんのすけの表情からするに、彼も知らされていないのだろう。
長義「あれだけ荒れていた本丸を立て直した敏腕高校生審神者が居ると、政府内で評判でね。突然だけれど、実力がどの程度なのか監査をしに来たんだ」
書類上では、私は十六歳の高校一年生にしてある。私の見た目的にも適齢だと思ったからだ。
表向きでは敏腕審神者の評価だろうけど、確実に裏がある。
政府側からすれば、自分たちが送り込んでいないぽっと出の見知らぬ十六歳が、前任を殺して退けた上にこの本丸の審神者の座に着いている。そう捉えて不信感を抱くのもおかしくは無い。監査と称し、調査をしに来たのだろう。
則宗「長きに渡る監査だからな。しばらく僕たちも此処で生活させてもらうよ」
せっかく魔法が伸び伸びと使えると思ったのに、また魔法が使えない日々を送らねばならない。そのくせ同居生活ときた。
『私はA。よろしく』
監査官の二人と握手を交わせば、一文字則宗に顔を覗き込まれる。
則宗「お前さん、綺麗な眼をしているな」
『知ってる。ありがと』
彼に向かって心のこもっていないお礼を返す。
全く、面倒なことになってしまった。
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こころ - 更新待ってます…!あの泛塵や白山吉光、山姥切兄弟を入れることはできますか? (2022年10月29日 17時) (レス) @page19 id: fa05d75225 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まじゅっちゃん | 作成日時:2022年6月13日 23時