【刀剣乱舞】魔女、元ブラック本丸の審神者です。 (ページ19)

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覆す　鶴丸side ページ19

審神者部屋に着き布団を敷いて主を寝かせる。

「手当ては……魔法で治るから必要無いか」

肩まで毛布をかけて部屋を出ようとするがピタリと動きを止める。

しかし仮にも怪我人だ。いくら魔法で治るとはいえ、見ているだけで痛々しい。

罪悪感で胸がいっぱいになり、救急箱を探し始める。

タンスの引き出しに“救急セット”と書かれた紙が貼られてあったのですぐに見つけることが出来た。

「っ！？」

上着をめくると脇腹に切り傷があるのを見つけた。傷口から察するにかなり深くやられたようだ。

「おいおい……こんなの聞いてないぞ……」

こんな傷を負っているにも関わらず果敢に立ち向かって行っていたとは……

「勇敢なのは良いが、他の誰でもない君の命だ。大事にしてくれよ」

そっと頬を撫でると、主の頬が緩んだ。

それからは手際良く手当てをしていく。

正直まだ驚いている。何故あの時主を助けたのか。後ほんの一瞬でも遅れていたら主の首は確実に飛んでいた。放っておけば勝手に死んでくれていたと言うのに。

それでも彼女を助けた理由は、絶望の中、僅かに殺意をチラつかせた瞳をして今剣を身を呈して守ろうとしたその姿に酷く感銘を受けたからではなかろうか。

彼女はこれまでの審神者とは違うことは分かっていた。ただ心の何処かで、結局本質は変わらないと勝手に決め付けていた。しかしそれを彼女は覆したのだ。

手当てを終えると救急箱を元あった場所に戻す。

「さぁて、光坊に頼んで、主の好物を作ってもらうとするか」

今回の主にはこの身を捧げても良いはずだ。