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とりあえず、コレが終わったらじっくり話を聞く。それまでは信用しないから。以上がキルアくんの言葉である。でもじっくり話を聞いたところで一体全体何になるのだろう。話を聞こうが聞かまいが、私が魔法使いであることは変わりないのに。たとえ私を魔法使いとして認められなくても、私が枝を丸太のような大きさに変化させたりそれに乗って空を飛んだりすることができるのには変わりないのに。
「目で見ている光景を現実だと受け入れることはできない？」
私のこの問いに、彼はこちらを見ることはなかった。
「今起きていることは受け入れる。でもそれが魔法であることは認めない。なにか絶対に仕掛けがあるはず。オレはそれが知り合いだけ」
なーるほど？ キルアくんはこの現象が「魔法」と片づけられることが気に食わないと。
マジックと言われればなにかしらの仕掛けがあると理解できる。でも、魔法と言われればそういうわけではないものね。
ふとヒソカさんのことを思い出す。奇術師、なんて呼ばれていたっけ。おそらくキルアくんの中の私の立ち位置は、ヒソカさんと同じなのかもしれない。ってことは、もしかして強いと思われてる？
その趣旨をキルアくんに伝えてみると、彼はより一層不信感を露わにして針のような視線をこちらに向ける。先ほどから視線だけで彼の心情がなんとなく伝わってくる。彼も彼で隠す気が毛頭ないのかもしれないが、それにしたってわかりやすすぎる。目は口程に物を言うとはいうけれど、
「敵意がない……ようにすら感じる」
「だってアンタ、強い感じが一切ないんだもん」
えっ。
「強いヤツはにおいでわかる。ヒソカはそれがはっきりとしてる。でもアンタにそれは全然ない。でもアンタは言葉では説明できない変なことはできる」
それともなに？ とようやくキルアくんが顔ごとこちらに向けた。
「アンタ、奇術師の仮面を剥ぐことでもできんの？」
「できない」
「即答かよ！」
だってわからないものはわからない。
「私がわかるのは学校で学んだ魔法だけ。それ以外のことについてはわからない。あれこそマジックじゃないの？」
「……ハア」
「なにさそのため息は」
「いや、包み隠さない性格なんだなーと。ゴンみたいだ」
貶されているかはよくわからないけれど、褒められていないことだけはわかった。
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作者名：敷 | 作成日時：2019年8月22日 21時
