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「推し、ねぇ、、、」
一通り準備が終わって、今はパエリアができるのを待っている状態。
藤野先輩はビールを取りに行ってしまって私は暇になってしまった。
冷たいラムネに手を伸ばして口につける。
シュワシュワとした感覚が喉を通っていく。
「美味しい」
カラン、とラムネのビー玉を転がしながら私はまた物思いに耽った。
推しと好きの違いってなんだろう。
私は風磨さんのこと、すごく大好きだし、手繋ぎたいとか、付き合いたいとかずっと一緒にいたいとか
そういうふうに思うけど
風磨さんは
若しかしたらアイドルみたいに、
ちょっとかわいいなーとかその程度に、私のこと思ってるのかな。
それもそれで嬉しいけど、
でもそれじゃ、あまりにも気持ちのバランスが釣り合ってない。
私は大好きなのに、風磨さんはきっと軽い気持ちなんだ。
こういう時に相談できる勝利くんが今ここにいないことが辛い。
「勝利くんー会いたいよ」
そう呟いた瞬間、背後で足音がした。
驚いて振り向くと風磨さんがいた。
やっば
タイミング、悪っっっ。
もしかして今の、聞かれてた?
「お疲れ様」
でも風磨さんは気にしてないみたいにビールを持ったまま私の隣に座った。
「あっついね」
「はい、暑いです」
首筋から垂れる汗が色っぽい。
そんな所までドキドキしてしまう。
でも風磨さんは私がビールを見ていると思っていたのか、缶を差し出した。
「飲みたいの?」
「いえ!てかまだ19歳ですし」
「真面目か(笑)」
俺なんか18歳の時から飲んでるけどな、
と風磨さんは笑った。
確かにそこら辺はルーズそうな風磨さん。
でもうちは親が厳しいのと、何となくお酒を飲むことへの抵抗からまだ飲んだことなかった。
別に飲みたいとも思わないし。
「お酒は美味しいですか?」
「うん。うまいよ、」
「オレンジジュースより?」
「うん、ずっと上手い」
「ラムネより?」
「うん」
「カレーより?」
「おい、なんでそこ食いもんが来るんだよ(笑)」
「カレーは飲み物ですよ」
「え、お前そういう派なの?俺は理解出来ねぇ!」
たわいもない話が、とっても幸せだった。
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作者名:ma | 作成日時:2018年7月2日 20時