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3話 ページ4

「やっぱり、そうなんだ」



私の言葉を聞いた男の人が、そう笑う



やっぱりって、どう言うこと?



思わず口にしかけた質問だけど、流石私と言うべきか本当に聞きたかった事のはずなのに、寸でのところでためらってしまって、結局口に出す事ができなかった



本当に、自分のこういうところが大嫌い



「よかったー!それじゃあ、読んでみよ。ありがとうね」



唐突に私に声をかけてきた男の人は、また唐突に私の前から去っていった



「…………。(なんだったんだろう…)」



まあ、変な人に絡まれたぐらいに思っておけば良いか



そう思うことにしてあの男の人は何だったのかという疑問を払拭することにしたのだけど



私の疑問は意外なことに、この直後に解消される事になる






「さっきのお兄さんとお知り合いなんですか?」



目をつけた本の貸し出しをお願いしたときに、もうすっかり顔馴染みになっていた司書さんに尋ねられた



「?、…さっきの、とは」



「さっき、斎藤さんに話しかけてた、あの人ですよ。まさか、本当に知り合いじゃないんですか?」



指摘されて、すぐに思い至る



あの変な人だ



「はい。今日が初対面の他人ですが…」



「あら、不思議な事もあるものですね」



「どういう事ですか?」



「あの人、斎藤さんが借りていった本を戻ってきた途端借りていくんですよ。本の趣味が合うんですね」



「…もしかして、その話男の人にもしましたか?」



「はい。」



ここで漸く合点がいった



つまりあの男の人は、自分が目をつけた本を私が借りていたのか確かめたかったのだ



そして、実際に私が過去に借りていた



「(ほんと、怖いくらいの偶然…)」



でも、それと同時に嬉しかったりもした。



学校では皆勉強、スポーツ、遊びで私の様に読書をしている人は結構少ない



その上私と本の趣味が合う人が学校にはいないようで、本をお勧めしてみても「そうなんだ」の一言で終わってしまうのがオチだった



でも、あの男の人は私が本当に面白いと思った本を好きになってくれて、そして私の本のセンスを信用してくれた



さっきまで変な人だと思っていたのに、自分でも驚くぐらい早くにあの男の人の印象は塗り替えられていた。



「また、会えたりしないかなあ」



ぽつりと独り言を呟いてみる



その言葉は、私以外の誰にも聞かれる事はなく



そのまま溶けて消えてしまった。

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設定タグ:Fischer's-フィッシャーズ- , モトキ , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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璃愛(プロフ) - 文才が半端ないですね…!!ちょっと泣きそうになりました(笑)お気に入りに追加させて頂きました!更新頑張ってください!! (2016年11月15日 22時) (レス) id: 7a8ff69c7a (このIDを非表示/違反報告)
勇利 - mayuko*???*??? ??さん» ありがとうございます!現実で、どこにでもいるような女の子を主人公として目指していたので、そう言ってもらえるとついニヤニヤしてしまいます笑 (2016年10月24日 21時) (レス) id: 7aa2b153b6 (このIDを非表示/違反報告)
mayuko*???*??? ??(プロフ) - 結構主人公が自分と似てて共感できるとことか沢山あります!!続き楽しみにしてます! (2016年10月23日 23時) (レス) id: 36766ad00f (このIDを非表示/違反報告)
勇利 - 巧斗さん» ありがとうございます。これからもそういってもらえるような小説でいられるように頑張ります! (2016年10月20日 22時) (レス) id: 7aa2b153b6 (このIDを非表示/違反報告)
巧斗(プロフ) - 最高すぎです!! (2016年10月20日 17時) (レス) id: e5b524eabd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:勇利 | 作成日時:2016年10月17日 21時

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