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敬人side
＿＿＿金星杯の夜
敬人「全く度し難い。何故俺がこのようなことを…」
俺は1人で夜の夢ノ咲を歩いていた。
理由などひとつしかないだろう。
あの病弱な幼馴染が色々とやらかしてくれたからな。
その後始末と、今後への根回し。
…などなどを処理していたらこんな時間だ。
もう月は頭上高くに昇っており、今が真夜中なのだと主張している。
もう夢ノ咲の近くの住宅の明かりはとっくに消え失せ、あるのは月明かりのみ。
けれどこんなにもあたりが鮮明に見えるのは、月が明るいからだろうか。
ひらひらと紅葉が風に乗って落ちていく。
それを横目に歩いている時だった。
＿＿パンッ
暗闇を切り裂くような鋭い音が聞こえた。
弓道部たる俺にはもう聞きなれた音、矢が的を射抜く音だ。
敬人「…全く、一体誰が…」
何故こんな夜中に…
そもそも、夜中に夢ノ咲にいること自体がおかしいだろう。
俺はいいんだ、許可を貰っているからな。
けれど、弓道場の許可願は出ていなかったはずだ。
…無断使用など…度し難い。
ふつふつとした静かな怒りを携え、いざとなったらあの仏像のように蹴り飛ばしてやろうか、などと思いながら弓道場を覗いた俺は、その光景に声を失った。
月明かりの中、黒い紋付きの道着を着た誰かが弓を引いていた。
彼を照らす月光を含んだ色の髪を風に揺らし、黒い弓掛けをキリキリと鳴らして。
見据えるのは白黒の的。
風を切り裂いて飛んでいく矢は、心地の良い音を響かせながら的の中央におさまった。
ふう、と彼から吐き出された息はほんの少しだけ白く染まり、緩やかに空気へと溶けていく。
…あれは…？
『……2mmズレたかな』
敬人「貴様…」
そう言って小さく眉を寄せる彼に思わず矢道から声をかければ、気づいたのか彼がこちらを向く。
澄んだ水色の瞳が俺を捕えて離さない。
背後の月も相まって、それは
随分と長い時間が経ったような気がしたが、そうでもなかったらしい。
『…あっ…』
彼がそう呟いて、慌てたように道場から駆け出して行った。
ご丁寧に、深く一礼までして。
慌てたように揺れる月光色の髪が、きらきらと光を放つ。
それをぼんやりと見ていた俺は、ふと目を瞬かせた。
敬人「…あれは」
道着の裏にあった月の紋印。
あれは確か…
敬人「…全く、演劇部などと…度し難い」
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海月(プロフ) - 久々の更新とても嬉しいです！作者様のペースで大丈夫ですのでお身体に気をつけて更新していってくださいね！応援しております！ (12月12日 17時) (
レス) id: 35dd37fd2f (このIDを非表示/違反報告)
Lemon!?(プロフ) - 久々の投稿めちゃくちゃ嬉しいです！応援してます!! (12月12日 0時) (レス) @page35 id: 1d8fe9d267 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - いちごみるくさん» 本当にお待たせしてしまって申し訳ないです…頑張ります！ (11月22日 17時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - ハルさん» ありがとうございます！ゆっくりですが、よろしくお願いします！ (11月22日 17時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 久しぶりの更新に大歓喜です！ありがとうございます！魚さんの書く小説本当に全部好きです！続き楽しみにしています！ (9月21日 18時) (レス) @page33 id: de7f25a96e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2021年12月16日 20時
