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泉side
泉「ほんっと、チョ〜うざぁい!なんで俺がこんなことしなきゃならないわけぇ?」
むすくれながらも書類を持って歩く。
最近こういう事多いんだよねぇ?
なんでも、最近P機関に認められたアイドルをどこの事務所でも取り合ってるんだって。
そのせいでかさくんも張り切っちゃってさぁ…
司《瀬名先輩、まずはこの書類をP機関に提出して頂いても?その間に司は色々と根回しをしますので。……どんな手を使ってでも"彼"を引き込まないと》
とかなんとか言っててさぁ。
れおくんはあの法事のあとからまた不安定になってるし、くまくんもなんかそわそわしてるし、なるくんはなるくんで
嵐《"彼"に関しては一切手を引くわ。きちんと向き合ってあげなきゃ可哀想よ》
なんていって、この件にはほんとに手を出してこないし…
ほんと、チョ〜うざい。
…俺もさ、あの子と主さまが違う子だって言うのはわかるんだよ。
なるくんとかかさくんの言うことも。
…でも、でもさぁ…
俺にとっても、Aくんは親友なんだよねぇ…
俺は一時期"本当のAくん"を忘れちゃってたけどさ。
でも、大切な友人には変わりないんだよねぇ…
…だから、最期の日は泣かなかった。
Aくんは、いつも俺たちに笑ってて欲しいって言ってたから。
…最期くらい、望みを叶えてあげたいじゃん。
だから一生懸命笑ったんだけどぉ…
…でも、ずっと俺の中で燻っている疑問がある。
レオ「なぁA。おまえちゃんと食べてるのか〜?」
『あっ、月永さん!ええ、今日もおなかいっぱい食べましたよ♪』
ふと、目の前をれおくんと"彼"が通り過ぎる。
にこにこ人懐こそうに笑う"彼"に、酷く違和感を覚えた。
泉「…れおくん」
レオ「セナ!うっちゅ〜!」
『こ、こんにちは…!』
ちょっとビクつきながらも、"彼"がぺこっと頭を下げてくれた。
その頭を1度だけ撫でて、俺はれおくんに向き合う。
泉「れおくん、この後暇でしょ?ちょっと話したいことあるからついてきて」
レオ「おれに?ん〜…分かった。じゃあA、気をつけてな!」
『あっ…はい!ありがとうございます。お疲れ様です!』
慌てたみたいにぺこぺこと頭を下げて、あの子が走り去っていく。
その後ろ姿を暫く2人で眺めて、とりあえずは書類を出しに歩き出す。
その道中、俺もれおくんも話さなかった。
…ううん、話せなかった。
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GurauGa(プロフ) - 最高に最高して最高でした。あの一気に前作から見たんですけどここまで完成されている心が打たれる作品に合うのがもう久しぶりすぎて涙が止まりません(➰〰➰)ノ王の安らかなる眠りを願います。 (2022年11月27日 2時) (レス) @page34 id: 1e7013ed24 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 伊弉冉アリスさぶさん» ご愛読頂きましてありがとうございました!少しでも王の気持ちを知っていただけたのならば嬉しいです♪ (2021年11月3日 20時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - るるるーさん» ご愛読頂きましてありがとうございました!アンケもありがとうございます! (2021年11月3日 20時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
伊弉冉アリスさぶ - 連続すみませんorz面白かったです!王になんてなりたくなかったのところで、偶像崇拝の瑞沢くんの最後を思い出し、本当の気持ちを抑えてでも皆の王でいたい、という気持ちが伝わり、それに気づいた時には鳥肌が立っていました…素晴らしい作品をありがとうございました (2021年11月1日 2時) (レス) @page29 id: c2abd4fe86 (このIDを非表示/違反報告)
伊弉冉アリスさぶ - 完結おめでとうございます〜!この作品が出来てから、『偶像祟拝をもう一度読まなければ……!』となり、夜遅いにもかかわらず1から最後まで読んでしまいましたw (2021年11月1日 1時) (レス) @page34 id: c2abd4fe86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2021年10月19日 12時