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『………』
その問いに、咄嗟には答えられなかった。
敬人「…好きではなかったのか」
『…自分には、その問いに応えるだけの資格があるとは思えませんので』
俺がそう答えれば、上官殿は深くため息をついて眼鏡をかけ直す。
…小さく、度し難いと呟いて。
敬人「俺は、貴様がTrickstarを心の底から愛しているものと思っていたが」
『………そう、見えていたのならば幸いですね』
敬人「あのS1で、俺はTrickstarのステージを見るつもりはなかった」
ほとんど負けが決定しているのに見ているのは腹立たしかったからな。と続ける上官殿は決裁の手を休めることなく、けれど口を閉じることもなかった。
敬人「だが、俺は何故か貴様から目が離せなかった。…それだけ、貴様は輝いていたということだろうな」
上官殿の言葉に、体が硬直する。
周りからゆっくり音が無くなっていく感覚。
けど、上官殿の声だけははっきり聞こえていた。
敬人「だから、貴様が易々とこちら側に来たのが少し違和感だった。…惜しいことをしているのではないか、とも思う。今から花開こうとしている蕾を、この手で摘み取ってしまったような罪悪感がある」
上官殿がまたため息をつく。
それに我に返って、慌てて上官殿の前に書類を置いた。
敬人「だが、貴様がそう選択したのならばいい。貴様がそれで納得しているのならな。…紫垣」
上官殿の前にまた1枚書類を置こうとしたその腕を、上官殿が掴む。
綺麗な緑の瞳がじっと俺を見つめて来て、思わず後ずさった。
でも上官殿の力は強くて、またぐっと引き戻される。
敬人「……後悔のない選択をしろ。この選択で貴様が後悔しないのならば、俺は貴様の後押しを全力でしよう。貴様が"紅月の一員"として輝けるよう、全力を尽くそう」
『……っ…有難う、ございます上官殿。ご命令、必ずや遂行致します』
敬人「…」
上官殿が3度目のため息をついて、俺の腕を離した。
…"後悔のない選択"か。
上官殿の目が伏せられていることを確認して、俺は思わず顔を歪ませた。
上官殿…その"後悔のない選択"は、出来そうにありません。
＿＿＿皇帝陛下の決定は絶対、ですから。
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魚(プロフ) - あお^さん» ありがとうございます…！確かにそこが二次創作の醍醐味ですね笑 (2021年9月10日 17時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
あお^(プロフ) - 私には考察という高度なことはできませんが、毎話楽しみにしています。魚さんのお話を元に妄想するのが楽しいです！本家では見られないキャラの意外な一面が見れるのが、二次創作の利点だなと思いますw (2021年9月8日 15時) (レス) id: e8bb8daa61 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - カズキさん» ありがとうございます！うわー！考察して下さると書きがいがあります！更新頑張りますね！ (2021年8月26日 21時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 凜々さん» ありがとうございます！！更新がんばりますね！ (2021年8月26日 21時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
カズキ - 更新お疲れ様です！お話全て拝見させて頂いております！勝手ながらに考察なんかもさせてもらっていて笑どの話も深くてとても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2021年8月23日 15時) (レス) id: 65b465303e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2021年8月18日 17時
