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そう、ぼんやり考えた時、もう聞き慣れてしもた着信音が響いた。
深く息をついて、通話ボタンを押す。
ほんまやったら無視したかったんやけどな。
……全ての仲間を殺してまで、無視する価値はない。
『…俺疲れてんねんけど』
ため息をつきつつそう言えば、耳元で低い笑いが聞こえよる。
ゲパ「知ったこっちゃねぇな。どうせSSの為の収録だろうが」
くだらねぇ、と吐き捨てる声にそっと目を閉じた。
……こいつには、何が価値ある事なんやろ。
『俺にも色々考えなあかんことあるの』
ゲパ「ふん、ご当主さまは護るもんが多くて大変だな」
『…………っ…貴様が、それを言うか……！』
思わず立ち止まって低く唸る。
お前が、言えることではない、だろう…！
俺から大切なものを根こそぎ奪おうとしとる、お前が＿＿＿＿＿＿！
ゲパ「まぁ落ち着け。てめえがきちんといい子にしてればいい話だろうが」
小馬鹿にしたような笑いが電波の先から聞こえてきよる。
…っ、ああ腹の立つ…！
今目の前におったら、殴ってやったっちゅうのに！
こいつ、俺が殴れへんとでも思っとるんやろか！
……でも、落ち着かなあかん。
こういった時こそ、深呼吸や。
このくそおっさんはあとでぶん殴るとして……今は。
『…ほんで？何が用や』
ゲパ「ふ、それでいい。いい子は嫌いじゃあねえ」
くつくつとおっさんが笑いよる。
はよせぇやボケナス。
ちんたらしとる間に寮に着いてしまうやろが。
ゲパ「SS本戦期間中は、乱凪砂が動きやすいように補佐をしろ」
『…それはおっさんの目的の為け？』
ゲパ「さぁな。てめぇの知らなくていいことだ。とにかく、てめぇは俺の言う通りにしておけ」
思わずギリ…と歯ぎしりをする。
『…契約、忘れてへんやろうな』
ゲパ「分かってるっての。一々確認するな」
切るぞ、と言われて電波が切れる。
スマホを握りしめて、地面に叩きつけようと手を振り上げた。
『…っ………』
けど…どうしても出来んかった。
『母上…俺は……どうしたら、いいのでしょうか…』
ぽつんと零れた弱音が、てんてんと地面を転がっていく。
それをぼんやり眺めとれば、ゴロゴロと空が鳴った。
ぽつ、ぽつ…と降り始めた雨は、すぐに桶をひっくり返したような雨に変わる。
けど俺は……そこから、動けへんかった。
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魚(プロフ) - あめんぼさん» ご愛読頂きましてありがとうございました！ (2021年8月21日 17時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
あめんぼ(プロフ) - とても面白かったです。 (2021年8月20日 20時) (レス) id: 446f4af563 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 初坊さん» ご愛読頂きましてありがとうございました！そう言っていただけて嬉しいです！ (2021年8月19日 19時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
初坊(プロフ) - 完結、おめでとうございます！とても素敵な作品でいつも更新楽しみにしていました。この作品にであえて本当によかったです！ (2021年8月18日 19時) (レス) id: 8f51cef084 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - さばかんさん» ご愛読頂きましてありがとうございました！そう言っていただけて嬉しいですー！新作でもよろしくお願いします！ (2021年8月18日 17時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2021年8月11日 12時
