包帯と黒帽子(1) ページ3
いきなり声をかけられた。
小さな私の体を包み込むようにして落とされた2つの影。
顔を上げると、黒い帽子を被った小柄な男性と、至る所に包帯を巻いたすらっと背の高い男性が私を見ていた。
「……俺より小さいヤツ初めて見た」
「あれ、若しかして漸く自覚したのかい?自分がチビだと」
「うっせ。で、何で手前は此奴に声掛けたんだ」
黒帽子さん(仮)も知らないらしい。
包帯さん(仮)はうふふと笑うと、私も見た。
「この子をマフィアに入れようと思って」
「……え?」
「はァァ!?」
包帯さんの言葉に、私と黒帽子さんの声が重なった。
「なんッで此奴を連れて帰るンだ!?」
黒帽子さんが包帯さんの胸ぐらを掴み、ガクガクと揺らす。
「そりゃあ、彼女が異能力者だからさ」
「……は?」
「異能力者ァァ?」
またハモった。
何か…デジャブ…?
そんな事より、【異能力者】?
「…あの」
未だ言い合いを続ける彼等に恐る恐る声をかける。
2人はぴたっと動きを止めて、こちらを見た。
「………誰が、何ですって…?」
「君が」
「私が?」
「異能力者」
「異能…力者……?あの、まず異能力者って……?」
包帯さんとの掛け合いに、黒帽子さんが呆れたように息をつく。
「おい青鯖。ほんッッとに此奴、異能力者か?」
「まだ彼女は開花してないんだろう。けれど、必ず開花する。今日のうちに」
「あの……?」
「今日ぅぅ?はァ?んな訳ねェだろ!」
「五月蝿いよ蛞蝓。ちょっと黙っててくんない?」
2人とも私そっちのけで喧嘩を始める。
あー、これはほっとかれてるね。
んでもって、私の話は聞いてくんないね。
大人しくしとこ。
「こう言う事では嘘はつかない。そうだろう?」
「………チッ。おい、手前。名前は」
あ、話し合い終結したのかな?
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作者名:コレット | 作成日時:2018年8月4日 20時