（33） ページ21
Aside
？「おや、こんな夜更けに我輩以外の者がおるとは……珍しいこともあるもんじゃのう？」
ほんの少し掠れた声が耳に届いた。
気づけば空はもう深い色をしていて、随分と長い間ガーデンテラスで座り込んでたんだな…なんてぼんやり考える。
『……分かってて来てるんでしょう？』
？「はて？我輩にはなんの事か分からんのぅ」
長い指を唇にあてて、こてんとあざとく小首を傾げるその人は、仕草とは逆に瞳を妖しく光らせた。
『…で、何しに来たんですか？朔間先輩』
零「くっくっく……なぁに、おぬしと少し話してみたくてのぅ？」
月をバックに、朔間先輩が笑った。
闇夜に光る紅い瞳に絡め取られて、まるで拘束されてるみたい。
こんなにも月が似合う人っているんだな〜…なんて頭の隅で思った。
零「おぬしは不思議じゃのぅ？まるで1度社会を経験したかのように振る舞う。
年相応でない、無邪気な顔が見えない。そう言われないかや？」
『…言われますね。何ででしょうね？俺にもさっぱりですよ』
朔間先輩の目がきつく細められる。
きっと朔間先輩はなんとなく勘づいてる。
でもそれがなんなのかが分からない。
って感じじゃない？
超常現象だもんな、転生なんて。
『…もういいですか？そろそろ帰りますけど』
零「最後にひとつ」
歩き出そうとした俺を止めるように朔間先輩の声が響く。
零「＿＿＿おぬしは、誰じゃ」
『…………"海野A"ですよ。それじゃ』
ガーデンテラスに立ち尽くす朔間先輩をおいて、俺は学院を後にした。
夜の9時をまわった通学路には、当たり前だけど誰もいない。
ふと空を見上げれば、いつも以上に星々が瞬いていた。
月光に負けず瞬く綺羅星たち。
零《＿＿＿おぬしは、誰じゃ》
朔間先輩の言葉が頭をぐるぐると回り続けてる。
ほんと、俺って誰なんだろ。
柄にもなく動揺してしまって、反応が遅れた。
それで理解されてたら結構困っちまうけど。
深くため息をついた。
もう少しでDDDだ。
それまで……どう接していけばいいんだろう。
fineも…真緒に対しても……
『…あーあ…………死にてぇなぁ…』
空を彩る星々に手を伸ばした。
願わくば、それらに並んで輝きたい。
そう思うのは、やっぱり許されないんだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 368人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魚(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます！頑張っていきます！ (2021年2月8日 8時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
如月 - すごい面白くて、すごい続き気になります！更新頑張ってくださいっ！！ (2021年1月31日 13時) (レス) id: 3ac1cdcc4d (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - るるるーさん» コメントありがとうございます！そう言ってくださるのが何よりも励みになります…！引き続き応援お願いします！！ (2021年1月17日 20時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
るるるー - 続編おめでとうございます！！ほんとうに面白くて毎日読むのが楽しみです！頑張ってください！引き続き応援しています…！ (2021年1月17日 19時) (レス) id: 86f11f0343 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魚
| 作成日時：2021年1月16日 17時
