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Aside
私はそれが、夢だとわかってた。
白い部屋、白いベッド。
ああ、また淫魔か？と少しげんなりしたのは内緒。
深く溜息をついて、背後にいるであろう人の方を見ようと振り返った私は、思わず固まった。
そこにいたのは、私がずっと敬愛してきた彼だったから。
この白い部屋によく映える赤のマフラー。
私に向かって広げられる腕と、柔らかな笑み。
tn「おいで？」
私は思わず駆け出した。
夢だと知っていたからこそ、出来る行為だ。
現実でこんな事されても、恐れ多くて出来ないし。
駆けて行って、半ば追突する勢いでトントン様の腕の中に収まる。
ちゃんと抱きとめて、しっかり抱きしめてくれた。
普段しないような甘いにおいがしたけど、きっと今日のデザートに食べたプディングの匂いじゃないかな。
バニラビーンズのいい匂いがする。
tn「ああ、ええ子やな、Aは」
そう言ってトントン様は私の頭を撫でてくれる。
それが嬉しくて擦り寄った。
ああ、嬉しいな。
大好きな彼に抱きしめられて、物凄く嬉しい。
そっと口付けられて、それもまた嬉しい。
もう1回、と強請るように顔を近づけようとすれば、ぐっと体を押された。
たたらを踏んで、踏みとどまる。
『え……？』
ようやく出た蚊の鳴くような声は、たった一音しか紡がなかった。
困惑して、トントン様の顔をみた私の脳は、完全に思考を停止した。
だって、彼の瞳が凍り付いていたから。
冷えきったその瞳は、嫌なものを見るように、嫌うように、厭うように、私を鋭く見詰めている。
瞳以上に冷えた声で、彼が声を紡いだ。
tn「もうこれ以上近づくなや」
それは聞いたこともないようなひくい声で。
私の肩は揺れる。
『な……なんで………？いま……いまくちづけてくれた…じゃ……ないですか………』
tn「は？何言うてるん？馬鹿なんか？
誰にでも体を許す子は好きになれへんわ。
もう二度と顔見せんといて」
トントン様がくるりと背を向けて部屋から出ていく。
その後ろ姿に、私は絶望した。
『あ……………ぁ………』
やっぱり、私は悪い子なんだ。
そうだ、そうだ私は悪い子だ。
悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子
床に座り込んで頭を抱えた。
嫌われた。
もう、駄目だ。
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魚(プロフ) - もも王さん» ありがとうございます！ (2020年6月18日 18時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
もも王 - 魚さん» いえいえ！推しはもちろん好きですが、この作品も大好きなので応援しています！結構初期の方から見ていたので、これからも頑張ってください！ (2020年6月18日 16時) (レス) id: ddd6641eac (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - もも王さん» うあー…なんだか申し訳ないです…あともう少しで完結すると思うので、これからもよろしくお願いします… (2020年6月18日 7時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
もも王 - Ohh・・・推しが二人も娶らない宣言してしまった・・・。それでもいい！見続ける！！頑張ってください！ (2020年6月18日 7時) (レス) id: ddd6641eac (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 理央さん» いやぁ、なんかこの2人はセットかなぁ、なんて思ったので←ありがとうございます！ (2020年5月14日 16時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2020年4月23日 11時
