↓ ページ23
『ぇ………？な、なんで………？』
慌てて顔を上げさせようとしたけど、彼は頑なに顔を上げない。
ht「人間界にいた時から、君、ずっと俺に怯えてたでしょ…？
その…………怖がらせてたよなぁって………ほんと…ごめん」
そう言っていっそう頭を下げてくるから、私らまた慌てた。
『た、確かに………最初は怖いと思ってましたけど………でも、今は怖いって思ってませんよ…？』
私がそう呟くと、そっと顔を上げた。
困惑したように揺れる濡れ羽色の瞳が、私を見つめる。
ht「…………なんで？俺は君の髪の毛を斬ったりしたんだよ？
今だって、安心させたところで切り殺すかもしれないんだよ？なんで………なんでそんなに…」
そう言ってまた黙った彼に、小さく笑ってしまった。
そんなの、決まってる。
『この1週間、ひとらんらんさんと共に過ごして参りましたが。
もしも貴方にその気があるのなら、私を殺すことなんて容易に出来たはずでしょう？
でも、貴方はそれをしなかった。それが答えではないですか？』
にっこりと微笑んでやると、彼は困ったようにわらって、小さくありがとう、と呟いた。
そして何かを決心したように頷く。
ht「花嫁伝承に俺は参加してるけど、君を娶ることはしないって決めたよ。
君が、安心して過ごせるなって思った人の所に行けばいい。だからさ」
そう言って彼はいきなり私の手を引いて立ち上がった。
そのまま外に出る。
なんだろう…と思いつつ、大人しくついて行く。
外に出てみた光景に、私は思わず言葉を詰まらせてしまった。
だって…これは………
ht「この子達がね、君に会いたいって何度も来てたから」
そこに居たのは小さな羽を持って、ひらひら舞い踊る妖精達だった。
私を見つけるなり、嬉しそうな声が日本庭園に響いた。
「シスター、シスター！やっと見つけた！」
「来て！来て！」
あの日のように妖精に引っ張られつつ、私ら彼に向き合って深く頭を下げた。
お礼くらいは言っておきたい。
たとえ、最初に恐怖を覚えていたとしても。
この一週間でお世話になったからね。
『ありがとうございました、ひとらんらんさん。この1週間、楽しかったです。お元気で』
最後にふっと笑って背を向ける。
精霊に手を引かれて、空気が歪むところに入っていった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
更新遅れて申しわけないです…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魚(プロフ) - もも王さん» ありがとうございます！ (2020年6月18日 18時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
もも王 - 魚さん» いえいえ！推しはもちろん好きですが、この作品も大好きなので応援しています！結構初期の方から見ていたので、これからも頑張ってください！ (2020年6月18日 16時) (レス) id: ddd6641eac (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - もも王さん» うあー…なんだか申し訳ないです…あともう少しで完結すると思うので、これからもよろしくお願いします… (2020年6月18日 7時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
もも王 - Ohh・・・推しが二人も娶らない宣言してしまった・・・。それでもいい！見続ける！！頑張ってください！ (2020年6月18日 7時) (レス) id: ddd6641eac (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 理央さん» いやぁ、なんかこの2人はセットかなぁ、なんて思ったので←ありがとうございます！ (2020年5月14日 16時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魚
| 作成日時：2020年4月23日 11時
