↓ ページ12
em「おや…誰かが来たみたいですね」
私は岩に座っていた腰をあげました。
あの後、私がこの世界から帰れるはずはなくて、ただ揺蕩う時に身を任せていました。
この世界では、囚われた人の時間が半分を過ぎると、誰かがこの世界に引き込まれる。
そして、引き込まれた人が、囚われた人を救えたのなら、ハッピーエンドなのです。
けれど私のように、引き込まれた人が囚われた人を救えなかった場合、引き込まれた人が次の囚われた人となり、バッドエンドとなります。
…私は、バッドエンドでしたから。
私は砂浜を歩いて、いばら姫の世界に行きました。
ここの最上階、そこで私は最初に引き込まれた人に出会う。
そっと最上階に足を踏み入れると、大きないばらが私を絡めとりました。
目元までしっかり絡められて、何も見えない。
コツコツと誰かの靴音が最上階に響きました。
「…え…?………エミ…さん…?」
ああ……彼だ…
慌てたように駆け寄ってくる靴は、途中で止まりました。
私の体が蝶になって弾けたから。
em「……助けて…__さん」
最後に見えたのは、驚いたように目を開く、黄緑でした。
39人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魚 | 作成日時:2020年2月16日 18時