総統閣下と氷の女【gr】 (ページ8)

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tnside

ワイ、地下室でAちゃんの見張り、なう。

暇やないんやけどなぁ…

tn「Aちゃんはさ、どこ生まれなん？俺はセクレチュア領からなんやけど」

『………………北の村。セクレチュア領には近かった』

tn「あ、そうなん？あーじゃあ精霊とかおる方か」

Aちゃんになんとか話しかけてたら、ちょっと心を開いてくれたのか、会話をするようになった。

昨日は結んどった髪を今日は下ろしとる。

でもその方がええよ、首輪見えずらくなるし。

『…精霊…はわからないけど………忌み子なら、いる』

tn「忌み子？そんなんおるん？」

『…いるでしょう、トントンさんの前に』

……あーそういうこと。

これはやらかしましたわぁ…

なんとなく微妙になってしまった雰囲気に後悔する。

『…ねぇ』

tn「うん？」

『………グルッペンは、お母さんに置いていかれたの？』

Aちゃんは昨日の事を語ってくれた。

時々言葉を選ぶように。

グルッペンが来て、なんか押し倒されてお前も置いてくのかって言われたんやって。

……むー…

tn「…グルさんには俺が話したって内緒な？」

俺が唇に人差し指を当てると、Aちゃんは頷いた。

tn「グルさんはなお父さんがおらんくて、母子家庭やねん。でもな、そのお母さんも、流行病で亡くなったんよ」

グルさんのお母さんに思いをはせた。

毎日毎日忙しそうで、たまに会っても挨拶くらいしか出来なくて、ワイらが士官学校を卒業する前に亡くなった。

…あの時からかなぁ…グルさんがなんとなくおかしくなったの。

いや、表面上では分からないんよ。

でもな…ふとした瞬間にあの綺麗な瞳から光が消える。

それがどうしても怖くて、未だにワイもオスマンも何も言えへん。

tn「きっとさ、グルさんはようやく手に入れたものを手放したくないんやろうね。あいつが1番"愛"に飢えとるから」

せや、グルさんは"愛"に飢えとる。

恋愛とか家族とかちゃう。

ただ、純粋な"愛"。

あいつが幼い頃から得られなかった、当たり前にある"愛"。

tn「その首輪も意地悪やなくて、ただ失うのが怖くなっとるだけなんよ。せやから………嫌いにならんといてやって？」

きっと、グルさんを救えるのはAちゃんだけやから。