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tnside




tn「……」


gr「………………………………」





ピリッとした空気が総統室に張り詰めとる。


俺が見詰める上司は、冷や汗を流しつつ時々俺をチラチラと見た。


俺と目線がかち合えばビクッと肩を震わせて慌てたようにまた書類にサインをしだす。


このやり取りをかれこれ1時間。


まだ書類の山は半分にもなりはせんかった。





gr「…………トン氏…」


tn「口よりも手を動かせ」


gr「…」





しゅん、と肩を落とすグルさんにため息を落とした。


それもこれも原因はあんたやろうが、と心の中で毒づいておいた。


いつもの発作で脱走した挙句半日も帰ってこなかったのだから自業自得だろう。


流石にもう許せへんわ。


こうしている間にも俺の自室には書類が溜まっていっとる気がするんやが……


まぁ、まずはこの人に書類させなあかん。


こっちの方が重要や。


じっっっっっと見つめていれば、ようやく集中してきたのかそわそわしなくなった。


それに少しだけ息を吐いて、マフラーを巻き直そうと取り払う。


ほんまやったら人前では絶対に巻き直さないんやけど、あの人顔上げへんし…大丈夫やろ。


そう思った俺が馬鹿やったかも知れへん。





gr「トン氏」


tn「……………」





大きくため息をついて首筋に手を当てる。


ちょうど隠れたそこには勾玉型の痣。


物心ついた時からあったものやし、ようわからんもんやし。


これが原因でいざこざがあったりして、俺的には嬉しくない代物。


痣やで、なんていってもこんな綺麗な痣なんてある訳ない。


信じる方がおかしい。

だから俺は当たり障りのない嘘をつく。





tn「……幻滅したやろ、俺が刺青だなんて」





しん、と静まり返る室内に居心地が悪くなる。


また小さくため息をついてマフラーを巻き直した。





gr「生まれつきの痣やろ、それ」

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(プロフ) - miiさん» はう...!ありがとうございます…! (2020年10月26日 16時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 私がこの世界に入り、最初に見た作品が魚さんの作品でした!とても面白く、今でも大好きです!この話が完結したら活動休止するのはさみしいですが、これからも頑張って下さい! (2020年10月23日 16時) (レス) id: fea92a175e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 麻痺さん» ありがとうございます!今しばらくお待ちください… (2020年8月23日 21時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
麻痺 - 好きすぎる!更新楽しみに待ってますー! (2020年8月22日 2時) (レス) id: dce11f68c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アカツキさん» ありがとうございます〜! (2020年7月7日 7時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年2月17日 9時

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