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少しだけ顎を上げて目を閉じる。
じっと見ていると、姉ちゃんの周りの空気が歪んだ。
ゆらゆらと揺れて、瞬きの一瞬で現れたのは麒麟。
部屋に淡い光が満ちる。
ぱさっと、姉ちゃんが着とった服が床に落ちた。
虹の大きな瞳が俺を見る。
zm「…綺麗やなぁ…」
姉ちゃんの長くなった首辺りの毛並みを撫でた。
艶々としとる毛並みは、姉ちゃんの髪色と同じで。
心地よさそうに閉じられた瞳も、優しく色を放っとった。
『綺麗…か？私にはいまいち分からぬのだが』
麒麟になった姉ちゃんが喋った。
綺麗で長い尾が揺れる。
麒麟になったら、両手は前脚として頭脳が切り替わるらしい。
尻尾はあんま意識してないらしいで？
まだ俺がちっさい頃はよく尻尾だけ変えて、遊んで貰っとったなぁ…
乳白色の角は、窓から差し込んだ光できらきら光っとった。
zm「めっちゃ綺麗やで、姉ちゃんの成体」
『そうか…？ふふっ…ありがとう』
ふわっとまた空気が歪んで、服を着てない姉ちゃんが現れた。
せかせかと服を着るのを、ただぼーっと眺める。
どうして姉ちゃんは麒麟なんやろうか。
何があって麒麟になったんやろうか。
最初っから？
それとも、なにかきっかけがあったんかな。
俺は…最初っからこうやったけど。
何気なく俺は頭を触った。
手に触れる硬い感触に、小さく溜息をつく。
同じ居遇。
でも、多分どこか違うんやろうな。
『ゾム、私達は一緒だよ』
着替え終わった姉ちゃんが、俺の隣に腰をかけた。
心の中を覗いたんやないかってくらい、ピタリと言い当てる。
それが少し怖いけど、姉ちゃんにならきっとわかるんやろうな。
麒麟やし。
…麒麟だから変わる事かようわからんけど。
『同じような居遇だろう？それにお前はもう独りじゃない。大切な仲間がいる』
包帯を巻いた姉ちゃんの目を見る。
ふっと微笑まれたから、つられて笑ってしまった。
zm「せやな…今は姉ちゃんも傍におるし？」
『ははっ！そうだな、今は私も傍にいる』
姉ちゃんがからからと笑う。
俺さ、姉ちゃんの笑い声好きやねん。
口調も、笑顔も、仕草も。
だから、それを崩そうとしてくる奴はどんなやつであれ敵。
姉ちゃんが麒麟って知ってしまった奴も、もちろん。
だって姉ちゃんが麒麟やって知ってええのは、俺だけやもん。
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魚(プロフ) - miiさん» はう...！ありがとうございます…！ (2020年10月26日 16時) (
レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 私がこの世界に入り、最初に見た作品が魚さんの作品でした！とても面白く、今でも大好きです！この話が完結したら活動休止するのはさみしいですが、これからも頑張って下さい！ (2020年10月23日 16時) (レス) id: fea92a175e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 麻痺さん» ありがとうございます！今しばらくお待ちください… (2020年8月23日 21時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
麻痺 - 好きすぎる！更新楽しみに待ってますー！ (2020年8月22日 2時) (レス) id: dce11f68c6 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - アカツキさん» ありがとうございます〜！ (2020年7月7日 7時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2020年2月17日 9時
