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2人肩を並べて東の森に向かって屋根を伝って走っていく。
下町と言っても国の中央にある城にほど近いので、森までは馬でも1時間かかるのだが、この2人は体力という概念がない。
走って15分程しかかからなかった。
『ねぇゾム。先お風呂入ってええ?』
zm「俺も一緒に入るから待っててや」
血に濡れたパーカーを洗面所で2人して脱ぎ捨て、ゾムが先に湯船に浸かる。
Aは暗い茶色の猫毛をくくるゴムを取って、ゾムに続いて湯船に浸かった。
2人並んで肩まで浸かって同時に溜息を付く。
zm「真似すんなや」
『真似してへんし。真似したのゾムやろ』
zm「誰がAの真似なんかするん」
Aはイラッとしてゾムの顔めがけてお湯を飛ばしたが、腕で遮られて当たらなかった。
仕返しとばかりにゾムもお湯を飛ばすが、Aも手でブロックする。
そこからお湯掛け合戦が始まった。
傍から見たら唯の恋仲なのだが、決して恋仲ではない。
もう一度言う。
この2人は恋仲ではない。
唯の腐れ縁だ。
結局決着が着かず、交代で頭や体を洗っていく。
前髪に血がこびりついていたのか、前髪を洗う度に白い泡が紅く染まった。
そのまま何事もなく風呂を出て、何気ない会話をしながらご飯を食べて布団に入る。
『ねぇ、明日の依頼って何?』
zm「んぁー……確か三強の暗殺やったっけ?」
『あぁ…最近力付けてきてる革命軍の首謀者達』
欠伸を零しながら話をする。
三強とは、この国を変えようと目論む革命軍のリーダー格3人の事をさす。
全員平民の出でありながら、巧みな話術で他の民を巻き込み、今や国の一勢力となっている。
革命軍の名を"我々"と言い、最近は3人の他にも6人ほど強力な人物がそちらに加入して、ますます勢い付いているのだ。
『国王からの直々の依頼やから、完遂しなくちゃあかんね』
zm「はぇー…だる」
明日の依頼は、この"我々"の三強を暗殺すること。
一勢力となった"我々"を消したいと考えるのは自然と国王である。
この間依頼仲介人に、国王名代から貰った有難い書類と共に内容を知らされた。
報酬の半額は既に前払いしてもらっているので、あとは完遂するだけである。
国王だろうが何だろうが知らないが、受けた依頼は確りとこなすのが"緑の猫"の信条だ。
革命軍の首謀者なのだから、いつも以上に楽しめそうだと2人で笑って、すっと眠りについた。
自分達の信条が明日崩れることになるとは知らずに。
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魚(プロフ) - 宇タさん» わわ〜ありがとうございます! (2021年9月22日 15時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
宇タ(プロフ) - 泣きそうです。というか泣きました。好きです。 (2021年9月21日 23時) (レス) @page33 id: 03f7136296 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - Tさん» コメントありがとうございます!申し訳ありません、作者はただいまd!から離れておりまして…思い出せそうにありません…本当に申し訳ありません (2021年2月19日 17時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
T - emさんのボマーってハンハンネタだったりしますか? (2021年2月19日 13時) (レス) id: 7059f04c94 (このIDを非表示/違反報告)
コレット(プロフ) - myona859さん» やー…ごめんなさい。私その作品読んでなくて……他作品からお借りしました… (2020年1月28日 5時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コレット | 作成日時:2020年1月5日 19時