第176話:酷い顔 ページ19
翌朝。「カギはポストへ」と書いた手紙を玄関に置き、午後から出勤のモモちゃんを置いて扉を開けた
「はぁ…」
足取りが重く下を向いたまま外に出ると私の足にゆらりと影がかかる
外にはカルエゴが本片手に私を待っていた
「あれ…おはよう」
カルエゴ「酷い顔だな」
「それが君の挨拶か」
カルエゴ「鏡見てから言え。仕事できる顔じゃないぞ」
約束をした覚えは無いのだが…と思いながらも、時間ピッタリに待つ彼に挨拶をしたと言うのに。カルエゴは疲れきった私を見るなりすぐに眉根を寄せて毒づいてきた
「ヒトの事言えないでしょ、カルエゴだって」
ココ、と自分の目の下を指さす。カルエゴはいつも濃いクマをつけて仕事している。無理し過ぎだから定着してしまったんだろう。昔はもう少し爽やかな顔をしていたんだけどな
カルエゴ「俺はいつもの事だ。それに今のお前ほどではない」
「はいはい、そうですか」
これ以上言うのは諦めた。
カルエゴ「…昨日やけに騒がしかったが」
「聞こえてたの」
カルエゴ「ああ、少しな。誰か来ていたのか?」
「ああ…モモちゃ…モモノキ先生がね」
え、と少し驚いたような顔をされた。私とモモちゃんが仲がいいのはカルエゴも知っているはずだが
カルエゴ「…そうか」
「あ、というか本貸した覚えないんだけど。あれ何?」
カルエゴ「ああ、数日前に本を借りようとしたら居なかったから借りたんだ」
「ええ…連絡もなしに…」
カルエゴ「前俺のサボテンを研究材料として勝手に持っていったのは誰だ」
「あ、ごめん。牙しまって、いやほんとあの時は悪かったよ」
言われてみれば新任に毛が生えた頃の私が、とても涼しい環境なのにカルエゴのサボテンだけ綺麗に育つ事が不思議で、こっそり拝借したことがあったな。と思い出す
バレた時には文字通り粛されそうになった。材料というよりは観察していたのだが。悪い事をしたと言えばその通りなので何も言えなかったのだ
カルエゴ「今回はその仕返しだ。………気になる本もあったしな」
「ね、さっきから言ってる私の貸した本って何?辿り着けないとか言う割に見当たらなかったよ」
カルエゴ「魔法で戻したからな。それに貸した本が何かくらい分かるだろ」
「分からないよ、あの数じゃ」
私の家、壁一面本棚なんだから。
そう言っても、カルエゴは鼻で笑うばかりで教えてくれようとはしなかった。
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えんさん(プロフ) - ニャンゴロリーン♬さん» ニャンゴロリーン♬様、コメント誠にありがとうございます!悪周期編きちんと書く予定なので、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!ゆっくりではありますが更新していきます! (1月7日 1時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンゴロリーン♬ - 悪周期編になったら大変な事になりそうな気がする…更新、楽しみにしています‼ (12月29日 20時) (レス) @page19 id: ada088a93e (このIDを非表示/違反報告)
えんさん(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこ様またコメントを下さりありがとうございます!☆*。 モモちゃんとの乱闘騒ぎは無事回避致しました!笑 きっとそんな事になっていたら隣からカルエゴ先生が飛び込んできていたかもしれませんね! (11月12日 19時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - これは草wwwモモちゃんと乱闘になるかと思ったわwwww (11月12日 18時) (レス) @page18 id: c52b7a4661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えんさん | 作成日時:2023年10月10日 0時