いざ征くは光のみ 神樂 ページ10
「チッ…卑怯な奴だな、どういう原理なんだか!」
「重要なのは善悪では無く合理的かどうかです。さて―どうされますか?」
「で、ここどこ?とりあえずこのお嬢さんを殺れば良い訳?」
「早い話がそういう事です。まぁ、戦闘不能にしてから殺すかはご自由に」
未だ変わらず笑みを浮かべ続けるカイルを一睨みしつつ、反撃を防ぐ為にも神樂は素早く後ろに飛びのく。一条刀の鈴が、場にそぐわぬ優美な音を立てた。
(この力は…防壁?いや、防壁と言うよりは抹消だか無効化の類…?)
相手を見据えつつ思考を回転させる。向こう側がいつ仕掛けてくるか判らない、そんな状況だからこそ一滴の油断も出来ないというのに思考にある程度はリソースを裂かないと打開策も無い。改めて見るとなかなかのクソゲーである。
突如現れた包帯野郎の実力は未だ未知数だが、それと同じくらいカイル・ドストエフスキーの手数の多さも未知数だ。即ち、今一番に狙うべきは―
「―一先ず、お前から殺すとしましょうか!」
包帯の方には一切目を向けず、勢いよく踏み込んでカイルに肉薄する。
受け身を取れる位置に着地しつつ、相手の頸に向けて一条刀を振り裂いた。
「―っと。まったく、殺人はとても重い罪なのですよ?」
「あんたブーメランって言葉知ってる?人を指摘して良いのは自分がやってない奴だけなのよ!」
一歩引いてその斬撃を避けるカイルに、神樂は勢いのままに二連撃目を放とうとする。だが、その二発目はもう一人の敵によって阻まれた。
「―急に呼び出されたかと思ったら無視されるのかぁ。今日はついてないかも」
軽いノリで振られた小型ナイフは神樂の頸スレスレを通って一回転する。中に浮かんだ小型ナイフを受け止め、軽く息を吹きかけて埃を払った後藍良は神樂の方を見据えた。
相手が一体何を考えているのか、感情が読み取れない。怒りやらに包まれ激昂している訳でも無く浮かんでいるのは至って普通の表情だ、だからこそそれが何処までも恐ろしい。
「ツイてないって嘆きたいのはむしろこっちなんだけどね。
ったく…日ごろからクソ共に苦しまされてるってのに…」
少女の口角は、そう言いつつも上がっていた。所謂ところのアドレナリン、一種の覚醒状態だ。
「―ま、二対一くらいで押されるほど私はヤワな巫女じゃないけど!」
一条刀を構え直し、神樂は勢いよく踏み込んで宙に跳躍した。
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フウ(プロフ) - 29巻作成しました!こちらからお願いします!(https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kazami133513/) (3月2日 22時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 続編移行致します!! (3月2日 21時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
雨咲(プロフ) - 更新しました! (3月2日 21時) (レス) id: daf5c838c6 (このIDを非表示/違反報告)
雨咲(プロフ) - 更新します! (3月2日 20時) (レス) id: daf5c838c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛宮リリー(プロフ) - 更新しました! (3月2日 17時) (レス) id: 234445217d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2023年11月14日 22時