【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ7)

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少女は何故立ち続けるか　神樂ページ7

宙を埋め尽くす様に浮遊する弾幕。
それに映ったものは、自分のトラウマでも…はたまた、凄惨な描写でも無くて。
ただ一つ、映っていたものと言えば―
自分が仲間と共に戦っている、否…自分が、仲間と戦っている所を「見ているだけの」光景だった。
最低限それらしく刀を振るって、致命傷にもならない攻撃を防いでみても。
いつだって自分はただのお荷物で、トドメを刺すのは他の誰かで。
目を背けていた現実が、痛いほどに自分の脳内を埋め尽くす。
役立たず、無能、お荷物―

“―仲間外れ”

「…いぃ゛っ…う゛ぁぁっ…！」

攻撃を一度も喰らわずとも、少女は膝から崩れ落ちた。
立とうとしても、その瞬間に絶望が覆い被さってくる。無理だ、どうせここで戦ったとて勝てる訳が無い。
カイルがこちらに気づいたように目を細めた姿にも、気付ける筈も無く。
きっと自分はこのままだ、このままパッとしないまま一生を終えていくんだ。
…そんな生き地獄を味わうくらいなら…もういっそ、潔く諦めた方が良いじゃないか。
気付けば足は、相手の方に進んでいた。

「…聡明な判断です。貴方は根っからの愚者では無かった様ですね」

もう、意識は殆どない。ただ、本能だけが叫んでいた。
この全身に絡みつく鎖を、今すぐにでも消し去りたいと。
この呪いを解くことが出来るなら、命なんて構わないと。

.

生涯孤独な少女には、

.

希望なんてある筈も無いから―

.

“―話してて楽しかったら、それはもう友達だろ？神樂と話してると楽しいからな！”

「―ｯｯｯ！！！」

―彼女の心に、太陽が振り向いていなければの話だが。
意識を完全に飛ばす寸前、脳裏にフラッシュバックした―「友達」の声。
何故今なのかはわからない、でも…

―それが、彼女にとって大きすぎる原動力になったのは…間違いなかった。
コンマ一瞬油断していたカイルの姿を見定め、勢いよく踏み込み体勢を低くした状態から上へと一条刀を振る。

「―あらま、完全に折れてはいなかったんですか。面白い」

「…確かに、私は一人じゃ、何も出来やしない！でも…」

にやりと口角を上げるカイルに、神樂は再び肉薄する―

「―それを挽回する事は！！！出来るのよ！！！」

独りの―一人の少女は、もう折れない。
断罪者は、尚も口角を上げていた―