【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ44)

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そして幕切れの幕開け　照輝ページ44

―――瞬間。
轟！と空気が爆発した。爆風ですらない、衝撃波とすら最早形容できない、暴力的な風の奔流が四方八方へと弾ける。
そしてそれは、今にも照輝を吞み込まんと口を開けていた小銀河に激突し―――ヒトが生み出せる領域を超えた剛力を以て霧散させる！
億千万の色彩は散り散りに砕け、星屑のように天を舞った。きらりきらりと輝く弾幕だったもの(・・・・・)を眺めながら、舞依は呆然と立ち尽くす。

「何、いまのは‥‥私の弾幕が吹き飛ばされた？ただの人の子に？そんな、そんなの‥‥ありえない！あってはならないことよ！」

声が裏返ることも、女神は顧みなかった。照輝がピコピコハンマーを構えて肉薄していることにすら気付かず、打撃を真正面から受けて無力に吹き飛ばされる。
今度は着地することもなく、舞依は地面に投げ出された。数メートル転がり、数分前までは僅かな汚れの一つもなかった体には土埃がまとわりつく。
照輝は黙ってそれを見ていた。彼はもうこの戦いで言葉を発することに価値を感じていなかった。その紫紺の瞳は、ただ全能の女神を倒すための道筋だけを捉えている。

「‥‥どうやら、あなたは玩具(おもちゃ)で留まるつもりはないみたいね。ここで留まっておけば無事に帰れたものを‥‥」

心底不快そうに土埃を払いながら舞依は立ち上がった。眼前に捕えた一人の少年を倒すべき「敵」として認めたことを、モルガナイトの瞳で雄弁に語りながら。

「いいわ、お望み通りラストワードを出してあげる。‥‥うっかり死んでも、知らないわよ」