【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ42)

今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:1,587 hit

Reason レイカページ42

四十里野兄妹がその場を去り、この場に満ちていた緊迫した雰囲気は収まった。

「それでこれからどうするの兄さん？私と愛し合わない？」
「その前に取り敢えず情報が欲しいかな？ここ全く違う世界みたいだし…」

急にこの世界に来たものだから方向性が何もかも定まっていない二人。

「それなら少し早いが、キャンプ地を探そう。準備なら出来ている。」
「え、良いの？」
「丁度独りでは退屈していたところだったからね。積もる話もあるだろう、少し休むと良い。」
「ありがとう！」
「いち軍人にしては準備が良いわね。」

歩き始めるレイカ達。

「それにしても、この世界が今までいたところとは別の世界なんてね…。」
「私に関しては、元居た世界で戦死してこの世界に来たから…」
「へぇー大したことないのね！」
「こらラターリヤ…」

さらっと酷い事を言うラターリヤだが、レイカはそれを受け入れているようで…

「…確かに、弾道ミサイルの爆発から仲間を庇って殉職というのは、空軍のいちパイロットとしては望ましくないのかもしれない…」
「え？爆発から仲間を庇って…ってどういう事？」
「簡単だ。隊長機が爆発の範囲内ギリギリに居たからぶつかった…それだけよ。」
「戦闘機でそんな事したの！？」

普通なら誰もしないであろう行為に驚く2人。
確かに味方の機体にぶつけて爆発から守るというのはかなりバカげた話ではある。…だが…

「…百歩譲ってアンタがそんな事できるとして、何でそんなバカな真似をしたの！？」

ラターリヤの質問に対しレイカは迷うことなく答える。

「…只戦うだけの"修羅"になりかけていた私を、アイツらが"人"の域に留めてくれたからよ。」

嘗ての仲間達…ヒノトリ隊のメンバーと、何度も戦場に出た。
時に戦友と酒を飲み、時に戦友との別れに泣き…
戦う理由も無かった自分に、戦う理由をくれた。
そして、この戦争の先にあるものを知り、自分に出来ることを見つけた。

「たとえエースパイロットと呼ばれている私でも、私は大したことが出来なかった。一兵士でしかない私には、世界を変える程の力はない。だから…だからこそ私は、『大切な人たちを守る』、そんな戦う理由を見つけたのよ。」
「…だから…君の隊長を庇って…。」
「ええ、後悔なんてものは無かったわ。」

妙にスッキリとした表情で、彼女は言ってのけた。