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一応の和解をみる 栞 ページ41

「‥‥と、こんな訳だ。栞が迷惑をかけたな」
「わあ、そうだったんだね。こっちこそ迷惑かけちゃったなぁ」

兄同士が和解する一方で、妹同士は未だにバチバチと音が出そうな気迫で睨みあっている。そこに挟まれているレイカが不憫なほどに殺気に満ちた空間であった。

「今しがたあなたが仰ったことにも訂正を入れさせてもらうわ。あなたが自分と兄が国として戦場に立ったなどと妄想している異常者であることは二千歩譲った上で議論を進めるとして、『何度も「ソビエト連邦」そして「ベラルーシ」として戦場に立ち』というのはおかしな話ね。ベラルーシはソ連が崩壊した1990年に誕生した国であり、ソ連と同時に存在することはありえない。ベラルーシ共和国軍だって、ソ連崩壊後に旧ソ連軍の白ロシア軍管区の部隊を継承して発足したものよ。ベラルーシ人民共和国であったという反論は却下するわ。ベラルーシ人民共和国は1918年に誕生したものの、1922年までに倒れているから『何度も』『戦場に立ち』というのは不可能よ」
「細かいことをチクチクとよく指摘するものだ。なるほど、お前は重箱の隅を楊枝でほじくることでしか反論ができない馬鹿だと見受ける。そんな愚者が私の言葉に、私と兄さんの絆にケチをつけるなど片腹痛いな。私が異常者であると決めつけて話しているところにも、視野の狭さと頭の堅さがはっきり出ている」
「わたしの言葉に反論できないからわたしの人格を貶し始めたように見えるのだけれどね。自覚がないとは悲しいも‥‥」
「いい加減にしろ、お前は」

更に言葉を重ねようとした栞の頭上から、鎬の拳骨が垂直に降ってくる。「あいたっ!?」と栞の短い悲鳴。

「に、兄さん‥‥?」
「こんなところで長々油を売ってる場合じゃないことはわかるだろ。俺達には用事があることを忘れたか?」
「‥‥それもそうね。夢見人と話している暇はなかったわ。わたしとしたことが、少し冷静さを欠いたみたい」

少し不服そうな顔をしつつも、鎬の言うことはしっかりと聞く栞。レイカがほっと胸をなでおろし、ラターリヤは私の勝ちだなと言いたげに鼻から息を吐いた。それが視界に入ってしまったものだから、栞はチッと舌を打つ。兄に対する態度といい、妄言といい、やたらと栞の癪に障る相手である。

「‥‥なんだ、いろいろとすまなかった。俺達は人を待たせているからこの辺で失礼するぞ」
「何事もなくて何よりだ。この先の幸運を祈る」
「また会えたら仲良くしてね」
「会わなくて結構だ、少なくともそこのコチコチ頭はな」

約一名に敵意をむき出しにされながらも、四十里野兄妹はその場を去ったのであった。

Reason レイカ→←総員、衝撃に備えよ ???



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フウ(プロフ) - 29巻作成しました!こちらからお願いします!(https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kazami133513/) (3月2日 22時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 続編移行致します!! (3月2日 21時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
雨咲(プロフ) - 更新しました! (3月2日 21時) (レス) id: daf5c838c6 (このIDを非表示/違反報告)
雨咲(プロフ) - 更新します! (3月2日 20時) (レス) id: daf5c838c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛宮リリー(プロフ) - 更新しました! (3月2日 17時) (レス) id: 234445217d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サナティ x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/  
作成日時:2023年11月14日 22時

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