【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ39)

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あの日の光　愛哀ページ39

「ぐっ…」
「……もう終わり？あなたの本気なんて、対したことなかった」

傷口を手で塞ぎ、ぜえぜえと肩で息をしながら崩れ落ちた愛哀。彼女の正面に立つリーには傷はあるものの、愛哀ほど深刻でもなければそこまで痛くもない。期待外れで残念そうな、そしてこれが実力の差だとでも言いたげな顔で、剣を持ったリーは静かに愛哀に近付く。
愛哀はリーが近付いてくると顔を上げて彼女を睨んだ。そんな愛哀に構うことなく、リーは首筋に刀を当てた。

「……言ったでしょう。私が気に入ってるのは清葉であって、あなたじゃないと」
「…知ってる。とっくに知ってるわ、そんなこと」
「………期待外れだった。早く消えて」

__________プツン。

刀を持った手にさらに力を込めて、首を斬ろうとしたリー。しかし、リーの正面に座り込んでいたはずの愛哀の体は、離れたところにワープしていた。

「……貴方は今、口にしてはいけないことを口にした。その言葉を放ったこと、後悔させてあげるわ」

傷口を癒し、ゆらりと立ち上がった愛哀。瞬間、彼女の身体から、とてつもなく強大な魔力が溢れ出した。手に魔道書を持った愛哀は、リーの方へと歩み出した。すると、足元には白色の巨大な魔法陣が現れ、檸檬色、桜色、青紫色の弾幕が宙を舞い始めた。

「私は、ずっとそう言われてきたの。期待外れだって、役立たずだって。その度に悲しんで、自分を責めた。そしたら能力が発動して、更に忌み嫌われた。そんな時、私を支えてくれたのは、皆から愛される筈のお姉ちゃんだったの」

『愛哀。大丈夫、貴方は役立たずなんかじゃないわ。私が保証する』
『ほんと…？』
『ええ、本当よ。ほら、おいで。愛哀』

「あの時抱き締めてくれたお姉ちゃんは何よりも優しくて、何よりも暖かかった。私はお姉ちゃんの為なら、いくらだって頑張れる」
「っ…！？」

リーの動きは、拘束魔法によって封じ込められた。剣で魔法を斬ろうにも、あまりにも頑丈で壊れない。もがくリーの二メートル程手前で立ち止まり、愛哀は顔を上げて力強く言った。

「例え、明日世界が終わろうともね！！！！」

「『ファイナル・マジカリスト』！！」

いつの間にか膨大な量になっていた弾幕が、一斉にリーに向かって放たれた。リーは暫く呆然とした表情をしていたがやがて俯き、目を閉じた。

「…負けたわ」

直後、弾幕がリーに直撃する。弾幕が当たる寸前、リーの口許には、微かな笑みがあった。

リー・スノークロック対加藤愛哀。
加藤愛哀の勝利。