【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ4)

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邪仙VS死神　被華ページ4

「―わぁざわざこんなグラウンド用意してくれちゃって…よっぽど死にたいらしいね」
「あら、私はまだまだ死ぬ気はありませんよ？貴方を殺す気はありますけど」

頬に一滴の汗を伝わせつつ口角を上げる被華に、琉香は口元に袖を添えてふふっと笑った。
双方笑っているが、そのマインドはまるで違う。その空間は何処までも不気味で、どこまでも恐怖的で、そして狂気に満ちていた。

「…で、あんたは死之華琉香か。一応聞いとくけど、何で異変なんざ起こしてるわけ？」
「まぁ、今更そんな事聞きます？簡単ですよ、異変というのは面白いでしょう？そもそも―」

目を閉じたまま琉香は白い空間の中で歩みを進める。そして二、三歩被華に寄った後、目を細めて目の前の少女に問うた。

「―今回の異変で、貴方達は何か被害を被ったんですか？誰かが死んだんですか？誰かが傷ついたんですか？例え貴方達がそれのどれかを被っていたとしても、私達は何も悪くありません。私達は自分達の意のままに生きていただけ、悪いのはむしろ何も対策出来なかった貴方達の方では？」

それは屁理屈でも無く、わざと言われている訳でも無い、紛れもない琉香にとっての持論だった。
最早常識ってなんだっけと錯乱しそうになるが、つまりここから導き出される答えは一つ―死之華琉香がどこまでも自分勝手で、自己本位で、狂気に満ちているという事だけだ。

…とはいえ、特殊な思想に包まれているのは琉香だけでなく被華も同じな訳で。

「…ま、それはそうなんだけどねぇ…」

「―その被害が世界が滅ぶレベルのものだろうが、ただのお遊び程度のものであろうが。異変を起こしたなら退治されなきゃいけない、異変が起こされたなら黒幕を退治しなきゃいけない…それが幻想郷の鉄則であり暗黙の了解なんだ」

「―お前ら如きがそれを捻じ曲げて良い道理など一つも無い。ということで殺しまぁす！」
「―こむちゃん、出番よ！」

勢いのままに鎌を抜いて地面を蹴った被華に、琉香は口角を上げたまま右腕を垂直に引いた。光が集まり、そこから生成されたのは…勿論、無月こむらだ。

「あぁ～？何だこいつ、もしかして食べて良いのかぁ！？」
「ええ、脳髄から爪先まで喰い尽して問題ないわ。出来るわね？」
「わーい！いっただっきまぁーす！」

食欲の赴くままに勢いよく肉薄してるこむらに、被華は口角を上げた―

「…はは…」

「―死神の体なんざ、並の雑魚には猛毒だ。せいぜい死なない様に頑張れよ、死塗れコンビ！」