“神々に愛された少女” 神樂 ページ29
流石に誤算としか言いようが無かった。
戦闘中、神樂は何一つとしてそれに関しての話題を口に出していなかった。それに加えて二、三回程存在した大ピンチの時ですらも使わなかったという事実を見て…一条神樂は神卸しの類は出来ない、カイルはそう仮定していた。
「カミオロシってやつ?君、そんな事出来たんだ」
「いや、出来なかったわよ。どういう訳か…出来る様になったけど」
そう言って口角を上げつつ返答する神樂の表情は、何処か不敵なものだった。それをちらりと一瞥し、カイルはふぅっと鼻で息を吐く。
「…どうやら私の誤算だった様ですね。思慮不足は大いなる罪…太宰藍良、後は貴方に任せます」
「え、君が負けたんだから負けで良くない?」
「私は負けました、ですが貴方は負けていないでしょう?」
そう言ってにやりと口角を上げるカイルの笑みは、使える駒は使い尽くすと言わんばかりに悪魔的な物だった。藍良もそれを理解はしているだろう、だからと言って拒否もしないからこそ彼なのだが。
「…ま、確かに私も不完全燃焼は嫌だしね」
そう言ってぽつりと呟いたその刹那、藍良は目にも止まらぬ速さで神樂に肉薄していた。そして、次の瞬間―
.
「―【天照大御神】!!!」
「なっ!?」
―フィールド一帯を、極熱が埋め尽くした。
あまりに強すぎる光の後、藍良は半ば呆然としながら血を吐く。
「…え、何で?能力…」
「…あんたの能力、どんな仕組みか知らないけどねぇ…」
「―たかが一人間の能力が、本物の神に通用すると思った?
いつだって対等に並ぶのは本物を装った偽物だけ、
本当の強者は―同じフィールドにすら、立たないのよ」
息を荒くしつつ首元に刀を突き付けた神樂に、藍良は一瞬きょとんとした後少しだけ面白そうに息を吐いた。今の彼の体内はいわば太陽レベルの灼熱が巡り続けている状態だ、動けば動く程衰弱しやがて息絶えるだろう。
「…はぁ…君、つまんないと思ってたけど。案外面白いね」
「あっそう、何一つ嬉しくないわ」
その言葉を最後に、藍良は目を閉じた。それを確認した瞬間、本能的に口から溜息が零れ出る。
「…っはぁぁぁぁぁ〜…」
―そして、何故だか頭に浮かんだのは…
.
(…勝ったわよ…照輝…)
―他でも無い、彼の姿だった。
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フウ(プロフ) - 29巻作成しました!こちらからお願いします!(https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kazami133513/) (3月2日 22時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 続編移行致します!! (3月2日 21時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
雨咲(プロフ) - 更新しました! (3月2日 21時) (レス) id: daf5c838c6 (このIDを非表示/違反報告)
雨咲(プロフ) - 更新します! (3月2日 20時) (レス) id: daf5c838c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛宮リリー(プロフ) - 更新しました! (3月2日 17時) (レス) id: 234445217d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2023年11月14日 22時