【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ27)

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打開策は？　神樂ページ27

―この期に及んで張り巡らされた完璧とも思える弾幕の檻に、神樂は聊か困惑していた。
いくらアドレナリンどっばどば状態とは言っても限度という物がある。反動やらが無かったのが救いだが、改めてハッとしてみてもただでさえ二対一の状態でこれは流石に悪手だ。

とはいえ何もしない訳にも行かない。どうやって負けるかはいまいち想像が付かないが、こんな所で負けるなんてそんな最悪な未来にはしたくない。

大小様々な白黒の弾幕達が一斉にこちらに降りかかる。ただでさえ動きを拘束されている状態でのこれはいくら何でもクソゲーが過ぎる、となればやる事は一つだろう。

「ｯﾂ…うらぁぁぁぁっ！！！」

右手に全重心を掛け、勢いよく垂直に振る。
間違っても崩れ落ちたレーザー達に被弾しない様に、素早くその場を蹴って回避しながら。

音と煙を立てながらレーザーと言う名の柱達は地面に倒れていく。その面積は非常に大きく、背後に引いていた藍良ですらも「おっと」と小さく呟いて後方に回避した。

「…これは驚きました。まさかそんな鈍(なまくら)程度でレーザーを両断出来るとは」
「あんた不敬なのか神に忠実なのかどっち？一条刀(これ)が鈍だってんならこの世界に存在する全刀鈍になるわよ」

そう言ってカイルに肉薄しようとした神樂の前に、ここぞとばかりに藍良は立ちはだかる。それに小さく舌打ちしつつ、右掌から軽くレーザーを射出した。

「君も大概しつこいね。しつこい子は嫌われるよ？」
「そもそも好かれようなんて思ってないから！一人で構わない、だってそれが宿命だもの―」

“―それは違うよ、神樂”

(―！？)

「ふーん…ま、いいや。君、死んでも全然問題なさそ」

何処から取り出したのか、三本のナイフが眼前に迫る。神樂はそれを屈んで回避しつつ、そのまま上空…即ち藍良に向けて刀を振り上げた。

「っと…」
「あれ、大丈夫ですか藍良さん。課された期待に応えないのは罪の一種ですよ」
「勝手に人呼んで面倒事擦り付ける方が罪なんじゃ無いの？」

軽口を叩きつつこちらの攻撃を避ける藍良達に苛立ちすら覚える。
相手は強い、そして…自分自身もまた、未熟で、弱い。

「さて…そろそろ終わらせましょうか。
　ここでぐだぐだと時間を消費するのは合理的とは言えません―」

「―罪人『大罪を犯し者』」

刹那、大量の弾幕達がフィールドを埋め尽くした―