【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ24)

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乱戦と矜持　被華ページ24

ピンチになって手下と融合云々と言うのは、決して珍しい事では無い。
ただ、それを実際に目の前でやられると…それは矢張りあまりにも不気味で、気味が悪くて、醜悪で。
全身から溢れ出るオーラ自体が彼女の生命力を誇示しているかのように、その姿を更に強大で不気味なものとしてこちらの目に映させる。
…クソ野郎の足掻きってのは、どうしてこういつもいつも厄介なものなのか。
足がすくむ訳では無い。ただ、どうしてもこの不気味な光景に不快感を覚えてしまう。

「―本ｯｯｯ当に…人をイラつかせるの上手だねあんたらは！！！」

軋んだ歯が立てたギリっという音を合図に、私は再び地面を蹴る。足場は中途半端に柔らかいせいでどうにも感触が薄く、正に足元の悪い中状態だ。

この生命力モンスター相手に正面衝突は無謀だろう。100％無効とは限らないが、おそらく策を練って突破した方が幾分か良い。

「…他の奴らだって戦ってる。お遊びとはいえ、こんなとこで足止めされてる訳には行かないんだよ…」

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「―そろそろ終わりにしようか！全てを堕とした邪仙！！！」

接近した私に向けて琉香は右手を軽く突き出す。そして放たれたのは、某魔法使いによって百万回見た様な極太のレーザーだった。間一髪のところで避けたそれは私の体スレスレを通過し肉壁を抉る。が肉壁が崩れる様子は無い、何重にも重なっているのかはたまた一瞬で再生しているのか…不気味なもんだ。

レーザーを撃てば防御がお留守になるというのはある程度幻想郷(この世界)で過ごしてきた者達なら常識同然だ。そしてそれは、勿論こいつ相手でも例外では無い。空いていた腹部に向けて垂直に鎌を振る。鋭い音が響いて、勢いよく血が噴き出して赤色の着物を更に赤く染めた。

「ｹﾞﾎｯ…本当に、惚れ惚れする鎌捌きですね…！」
「お褒めに預かりなんとやら。そこまで言うならやられてほしいけど！」
「まぁ、それは出来ないお願いですわ！」

そう言って琉香が地を蹴った瞬間、体中に奇妙な感覚が迸った。視界が揺れて気付けばゼロ距離にいた筈の琉香は10メートル先に移動している、ただの瞬間移動の類では無い、正に空間自体が伸びた様な…

「―皇被華様、私は貴方様に勝てるとは毛頭思っておりません」

「ですが…かと言って、何もせず負ける気も毛頭無いのです―」

挙げられた彼女の右手には、何やら不気味なオーラが迸る。そして琉香は…
今までで一番醜い笑顔を浮かべて、再び顔を上げた。

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「―負ける事前提なら、失うモノはもう何もありません。
　全て捨てた者の悪足掻き…とくとご覧くださいませ！」