【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ16)

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死神と邪仙　被華ページ16

弾幕が着弾した肉壁(物理)がぐちゃりと不快な音を立てる。それと同時に一部が降り注ぎ、私はそれを軽く一閃しつつ相手の方を向いた。

もう何十回斬ったか覚えていない無月こむらは何処か虚ろな目で何十回目かの肉薄をし、琉香はそれを後方から愛おしそうに見ている。実力的なら普通に勝てるのに、害悪すぎる能力がそれを許さない。世界はこれをクソゲーと言う。

「どうです、死神さん。疲れました？うちのこむちゃん強いでしょう！？」
「いんや、別に強くなんて無いよ。ただ、これだけは認めてやる―」

地面を勢いよく蹴り、琉香の方に肉薄する。それに反応して挙げられた右手によって、再び目の前に立ち塞がったこむらごと―私は、今一度鎌を振るった。

「―お宅の死体、敵をイラつかせんのは世界一上手だよ！！！」

脳天まで響き渡るような鮮音と共に飛んだこむらの頭部がちらりと視界に映る。だがしかし…それはあくまで前座だ。

「まぁ―
　―ｯ！？」

まさか自分の方に二連撃目が来るとは思っていなかったのだろうか。
勢いよくこちらを向いて一瞬目を見開いた琉香に、私は勢い良く大鎌を振り下ろした。

ｻﾞﾝｯ！！！

相手が防御で張った弾幕によって、その場は土埃で埋め尽くされる。
そして、小さく聞こえた水音と共に晴れた土埃の奥に映ったのは―
赤色の着物を更に鮮血で染め、小さくよろめいて自らの右腕を抑える琉香の姿だった。
口角は依然上がっているが、その右肩から腰辺りからは見るだけで痛々しい程の血が噴き出している。普通の人間なら一発KO、並の妖怪ですらも即一回休みレベルだ。

咳き込みと同時に吐かれた血が、肉に染みて消えていく。顔は先程と比べて何処か青白くなり、通常通りの息をするのに必死な様で肩を小刻みに震わせる。

「…流石、死神ですね。その技術力は勿論―此処まで躊躇なく鎌を振るえる(相手を殺せる)とは」

その言葉は、決して嫌味でも皮肉でも無かった。青白い顔で確かな笑みを浮かべて、私の顔を見上げる。

「御見それしました、貴方はとても強い御方です。
　ですが―」

ﾊﾟｧﾝ！！！

「！？」

―脳天を突き抜ける程の、はっきりとした音だった。
魔力でも霊力でも無い力がその場を勢い良く流動し、彼女の体を掴んでいる。